第31章 【to be or not to be】
「いや……その、ネビルは……ハリー達と一緒にした方が良いんじゃないか?」
自分達と一緒なんて、ネビルが可哀想過ぎると思った。しかしネビルが抜けると、こちらは自分とドラコの2人だけだ。いくらファングがいれば襲われないといっても、子供2人だけでこの森は危険すぎる。かといって今のドラコの剣幕を考えると、ファングの代わりにハグリッドに来てもらうわけにもいかないし、天敵のハリーと組ませるわけにもいかない。
きっとハグリッドも同じことを思ってこの人選にしたんだろう。クリスはネビルを振り返って首をかしげた。
「………ネビル、悪いけど……私達と一緒でもいいか?」
ネビルは横目でドラコの顔を覗き見た。機嫌の悪いドラコと、一緒に夜の森を歩きたくはないだろうが仕方がない。ネビルは弱々しくうなずいた。
「よぉし、それじゃあ行く前に合図を決めておこう。ユニコーンを見つけたら緑色の光を打ち上げる。そんで何か困った事があったら赤い光を打ち上げる、いいな?ここで少し練習しておこう」
5人はそれぞれ杖を手にすると、緑の光と赤い光を順番に打ち上げた。その光で森の入り口が一瞬だけ照らされたが、明かりはたちまち鬱蒼と茂った不気味な森の中に吸い込まれるようにして消えてしまった。
これがいつも昼間に見ている森にはない、もう一つの真の姿だ。クリスは生唾を飲み込むと、汗ですべる手で召喚の杖を握った。