第31章 【to be or not to be】
「俺達は右の道を行くから、お前さん達は左だ――クリス、悪いが頼んだぞ」
「ああ、死なない程度に頑張るよ」
「クリス、無茶しないでね」
「何かあったらすぐに知らせてね」
ハリーとハーマイオニーが心配そうな視線を送ってきた。本当はクリスだって不安だったが、2人の顔を見てなんとか笑わなきゃいけないと思った。
「2人とも大袈裟だな。今生の別れじゃないんだぞ」
「でも……」
「大丈夫だって。それにスネイプに借りを返すまでは、死なないって決めてるんだ。知ってるだろう?私のつけたランキングの内容を」
ニヤリといつもの嫌味っぽい笑い方をすると、2人に少しだけ笑顔が戻った。これでいい、少しでも前向きでいなければ、こんな森には5分といられない。それでなくとも鬱蒼と茂った森を見ているだけで、気分が滅入ってくるのだ。
「みんな用意はいいな、出発だ!」
ハグリッドの声を合図に、6人は木々に隔てられた道を二手に分かれた。ハグリッド達は右の道へ、そしてクリス達は左の道へ。天国に続いているのは、右か左か。はたまた両方地獄なのか。それは夜空に輝く赤い星だけが知っていた。