第31章 【to be or not to be】
ハグリッドを先頭に、ハリー、ハーマイオニー、ネビル、その後にドラコが付き、クリスは列のしんがりにまわった。いろいろあった所為で出発が予定より遅れてしまい、ハグリッドは早足で皆を禁じられた森の入口に案内すると、そこから少し離れた獣道の先を持っていたランプで照らして見せた。
「ほれ、見えるか?あそこで光っている銀色のものが」
少し開けた場所に、銀色の水のようなものがランプの光を受けて仄かにきらめいているのが見えた。クリスはそれがなんだか分からなかったが、何故か無償に悲しくなってきた。五感以外の何か特別な感覚が、ここで悲劇が起ったとクリスに告げている。そしてその悲しい予感は結局当たってしまった。
「あれは……ユニコーンの血?」
「ああそうだ。何者かに襲われたんだろう……こいつだけで、もう3匹目だ」
ハーマイオニーが恐る恐るたずねると、ハグリッドは低い声でうなずいた。
「俺達の仕事は、この可哀想なユニコーンを見つけ出してやることだ。でももし助からねぇようなら、それ以上苦しまないようにしてやるしかない」
「でも、もしこのユニコーンを襲った奴が、先にぼく達を見つけて襲って来たらどうするの!?」
ネビルが今にも泣き出しそうな声を出した。怖がりのネビルにとって、こんな夜更けに森に近づくだけでも身も凍るような気分だと言うのに、襲われたユニコーンを探しに森に入るなど耐えられるわけがない。それでなくとも彼は自業自得のクリス達と違って、仕方なくこの罰則をうけているに過ぎない。
ハグリッドはそんなネビルを少しでも励まそうと、力強く自分の胸を叩いた。
「心配するな。俺やファングと一緒にいれば、この森に住むものはだれも手を出さん。さて、それじゃあここで二手に分かれよう……女の子は分けた方が良いな。せっかくユニコーンを見つけても、野郎だけじゃ近寄らせてもらえねぇからな」
「僕はクリスと行くぞ」
すさずドラコが口をはさんだ。「そしてお前とは行かない」と、ドラコはハグリッドを睨み付けながらハッキリ言った。
「ふん、それじゃこうしよう。ハリーとハーマイオニーは俺と来い。クリスとマルフォイ、そしてネビルの3人にはファングを同行させる」
「ちょっと待ったハグリッド!」
「ん?どうしたクリス」