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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第31章 【to be or not to be】


 その汚名を返上するためにも、クリスは一心不乱に勉強に打ち込んだ。ハリーもハーマイオニーも挽回をすでに諦めていて『せめて少しでも目立たないように生活しよう』と、小さく背中を丸めて日々を過ごした。巻き添えを食らったネビルも、いつも以上にうつむいて授業を受けていたし、あのハーマイオニーが授業中一度も手を上げずに、黙々と独り勉強をするようになった。

 だからこそ、クリスが減点された分を取り返そうと授業中に何度も手を上げる姿が、生徒の間で悪目立ちした。「200点も減点させたくせに、今さら何様のつもりだ」とか「あいつは反省の態度も見せない最悪の目立ちたがりやだ」と何度も悪口を言われたが、クリスは全く気にとめていなかった。そんな評判を気にしている暇があったら、少しでも勉強して、少しでも点数を稼ぐ方が先だった。
 点数を取り返せば、悪い噂なんてすぐに消える。毎日夜遅くまで、クリスは何かにとり憑かれたように勉強した。しかしそれでも点数は一向に戻らず、日々だけが無情に過ぎていった。


「……今日は、私にとって記念すべき日だ」

 魔法薬学の授業が終わり、図書館へ向かう途中クリスがポツリと呟いた。

「何かさっきの授業で、そんな記念するようなことあった?」
「聞いて驚くな、凄いぞ。今日初めて、私のつけた『いつか後ろから刺してやりたい奴No1』の座がパンジー・パーキンソン以外のやつに明け渡された。栄えある第1位は――セブルス・スネイプだ!」
「ああ、僕の『こいつだけは死んでも構わないランキング』の頂点をずっと独占している人だね」

 ハリーは「まあ僕もやつの『なぶり殺しにしたいたい奴No1』だと思うけどね」と自嘲した。
 実はクリスがどんなに頑張っても各寮との点差が一向に縮まらない理由は、全てスネイプにあった。スネイプはクリスが少しでも他の授業で点数を稼ごうものなら、その稼いだ分だけ減点していった。
 しかもそれを直接クリスからでなく、わざわざハリーから点していくのだから、こんな歯がゆいことはない。

「あいつのハリー嫌いは昔から知ってたけど、最近特に酷くなってないか?度を越してるぞ」
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