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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第31章 【to be or not to be】


「ああ、クリスが……ついに壊れた」
「壊れた?違うな、私は正常だよ。200点だろう、たかが200点だろう!?そんなものすぐに挽回してみせるさ」
「無理よ、どう考えたって200点なんて取り戻せるわけ無いわ」
「らしくないなハーマイオニー。1回の授業につき10点稼ぎ、それを20回繰り返せばあっという間に200点だ。そうさ、そうすれば200点なんてかるいもんだ」

 ここでくじけてしまっては、天国の母に顔向けできない。
 クリスは引きつったように、口の端を持ち上げてニヤリと微笑んだ。恐怖からか、はたまた興奮からか全身が震えている。それを隠すようにクリスは腰に手をあてて無理やり胸を張った。

「このクリス・グレインが、いつまでも他人の足元に這い蹲っていてたまるものか!見てろよ、この私がグリフィンドールに伝説を打ち立ててやる。はぁーーっはっはっはっは!!!」

 この時のクリスは間違いなく自棄だった。いや、自棄にならざるを得なかった。どこからばれたのか、翌朝の朝食の時間までにはクリス達の所業が皆に知れわたり、みんなの態度が豹変してした。
 人間なんて勝手なもので、組分けの時はあんなにハリーがグリフィンドールに入ったのを喜んでいたくせに、今やハリーはグリフィンドール1の嫌われ者になっていた。有名で期待が高かった分、みんなのハリーに対する落胆が大きすぎたのだ。結果、悪意の殆どはハリーに集中する羽目になってしまった。そんな中で、ロンだけはハリーの味方だった。

「みんなの言う事なんて気にするなよ、ハリー。何週間もすれば忘れるよ。フレッドもジョージもしょっちゅう減点されてるけど、未だにみんなに好かれてるよ」
「でも一晩で200点も減点はされてないだろう?」
「うん、まあ、それはそうだけど……」

 ロンもフォローが出来ないほど200点という点数は大きい、その波紋はホグワーツ全体に広がっていた。他の寮からも批難轟々で、今年こそスリザリンから寮杯を奪えると思っていたレイブンクローもハッフルパフも敵に回り、唯一喜んだのは、スリザリンだけだった。50点減点されてもまだ挽回の余地のあるスリザリンは、口を揃えて「ありがとう、我らが英雄ハリー・ポッター」と囃した。
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