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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第30章 【チャーリーからの手紙】


「それが出来ないから頼んでるんだよ。お願い!」
「私からもお願いするわ、クリス」
「僕からも頼むよ。僕に代わってノーバートを運んでやってよ」
「駄目だ。おだててやらせようったって、もうその手には乗らないぞ」

 前回はそれでまんまとドラコの説得役を押し付けられたんだ。もう同じ手は喰わないとばかりに、クリスは彼らの必死の眼差しから、ぷいっと顔をそむけると腕を組んで断固たる姿勢を示した。

「そう……ならこうしましょう。もし手伝ってくれたら、私がクリスに“イイモノ”をあげるわ」
「イイモノ?」
「ええ、何が欲しい?新品の乾電池?ケーブル?それとも電球?」

 それを聞いてクリスの表情が180度変わり、ハーマイオニーの方にずずいっと詰め寄った。マグルからしてみれば大した物でなくても、クリスにしてみたらどれも喉から手が出るほど欲しい物だ。

「本当に?手伝ったら、本っ当にくれるんだな?あとで無いって言っても駄目だからな」
「もちろんよ。手伝ってくれたらママに頼んでこっちに送ってもらうわ」
「じゃあやる!手伝う!もう何百回だって手伝います!!」

 やったー!と両手をあげて喜ぶクリスの横で、友人達は密かに耳打ちしあった。

「ハーマイオニーも、最近クリスの扱いに慣れてきたね」
「“馬鹿な子ほど可愛い”とはよく言ったものよ」

 こうして、ノーバート運送メンバーは決まった。あとは土曜の夜を待つだけとなったが、そこでまた問題が起きた。翌朝、ロンの手は倍に膨れ上がり、傷口は気味の悪い緑色に変色していた。調べた所によると、どうやらノルウェー・リッジバックの牙には毒があるらしく、水で傷口を洗っただけではどうしようもないものだった。
 始めはドラゴンの事がばれる事を恐れ医務室に行くのを嫌がっていたロンだったが、薬草学の時間中ついにぶっ倒れて医務室に運ばれた。授業が終わったあと、ハリーとクリスとハーマイオニーが医務室に駆け込むと、ロンは手に分厚く包帯を巻いてベッドに横になっていた。

「大丈夫、ロン?」
「全然大丈夫じゃないよ。手はちぎれるように痛いし、マルフォイの奴はからかいにやってくるし」
「ドラコが!?」
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