第30章 【チャーリーからの手紙】
首をかしげるクリスだったが、考えていても始まらないし、とにかく今はロンの手当てが先だ。水道の水でよく傷口を洗うと、3人は本を参考に早速ロンの傷の手当てに取り掛かった。
万が一に、と思って借りた本がいきなり役に立ってしまい、良いのやら悪いのやら。それでも馴れない手つきでなんとか止血をし、傷口をハンカチで覆うところまで済ませた。あとは悪化しない事を祈るのみである。
ロンの手当てが終わってホッと一息ついたその時、窓を小さく叩く音が聞こえて4人は一瞬肩を振るわせた。見ると談話室の窓に、白いふくろうが飛んでいる。
「ヘドウィグだ!きっとチャーリーからの手紙を持ってきたんだよ」
4人は急いで窓を開けると、ヘドウィグから手紙を受け取った。
【ロンへ】
元気か?手紙をありがとう。こちらとしても、喜んでノルウェー・リッジバックを引き取らせてもらうよ。だけど問題は法律違反のドラゴンをどうやって運ぶかなんだ。もし誰かに見られたらハグリッドはもちろん、お前達だってタダじゃ済まなくなる。
そこで土曜の午前0時に、一番高い天文台の塔にリッジバックを連れてきて欲しいんだ。そうしたら頼んでおいた俺の友達が、リッジバックを暗いうちに運び出してくれる。本当は俺が行ければ一番なんだが、生憎仕事が忙しくて抜け出せそうにないんだ、ごめんな。
なるへく早く返事をくれよ。でも無理はしないように。がんばれよ……
チャーリーより
「透明マントがある。ハグリッドが使うのは流石に無理だけど、僕達なら体も小さいしなんとか隠れられるよ」
「ちょっと待ってハリー、そう簡単に言うけど、ノーバートって見た目よりずっと重いのよ。それをハグリッドの小屋から塔の天辺まで運んでいけると思うの?」
「3人もいるんだからどうにかなるよ。僕と、ハーマイオニーと、あと……」
ロンの方に傾きかけたハリーの指が、ゆっくりクリスを指した。あの手の傷では、どうやったってノーバートを運ぶのは無理だ。かといってハリーとハーマイオニーでは文字通り力不足だ。
「クリス、頼むよ。あと一回、あと一回でいいから手を貸して」
「嫌だ、もう手伝わないって決めたんだ。私よりハグリッドにやらせろよ、それが親の責任だろう?」