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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第30章 【チャーリーからの手紙】


 おそるおそるハンカチをめくり、ハリーとクリスとハーマイオニーは絶句した。太い牙がロンの手に深く噛み付いた痕があり、傷口からは血が大量に流れている。貫通していないのが不幸中の幸いだった。

「手がもげなかっただけでも幸運だったよ。まったくあんな恐ろしい生き物初めてだよ、なのにはグリッドは僕が噛まれたっていうのに、僕があいつを驚かせたから悪いって言うんだ。やってらんないぜ。な~にが『おーよちよち、可哀想なノーバートや』だ!可哀想なのは僕の方だよ」
「確かに酷いわね、これは。マダム・ポンフリーに見せた方が良いかも知れないわ」
「ダメだよ、マダムに見せたら一発でばれちゃうよ」
「かと言ってこのままってわけには――あっ、そうだ!ちょっと待ってろ」

 クリスは一旦寝室に戻ると、先日借りた「緊急!救急!応急処置!~マグル式~」という本と、大き目のハンカチを持って談話室に戻ってきた。

「確かこれに載ってたはず――あった、動物に噛まれた場合の対処方」
「珍しいわね、あなたがこんな真面目な本を読むなんて。どうしたの?」
「……別に。だたクィディッチの時みたいにまた思わぬ怪我をしたら、役に立つと思っただけだ」
「そういえばさ、クリス。君、その時の傷って残ってる?」

 ハリーの質問に、クリスは後頭部に手を当てて確認してみた。手の感触から傷は残っていないようだったし、残っていたとして髪の毛に隠れて外見では分からないはずだ。少なくとも、禿にだけはなっていなかった。

「いいや、残ってないと思うよ。傷事態は小さかったし」
「そっか……あのね、ネビルが一度だけ僕達に君の事を聞いてきたんだよ。なんか『もしかして傷が残ってないか』って」
「ネビルが?私のことを?」

 クリスはなんだか狐につままれたような気分だった。ネビルがクリスの事を怖がっているのは周知の事実だ。それでなくとも例のクィディッチ乱闘騒ぎから、ネビルはますますクリスと距離をおくようになってしまったのだ。はたしてそのネビルが、自分を心配するような事を言うだろうか。
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