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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第28章 【過ぎ去りし平穏の日々】


 ハーマイオニーはさて置き、ハリーもロンもクィレルに対してかなり優しく接するようになったし、クリスもなるべくスネイプと2人きりにしないよう、質問をするふりをして何度となく職員室を訪れていた。その甲斐あってか、イースターを過ぎてもまだクィレルはスネイプに例の件を話していないようだった。
 日に日にクィレルはやつれ、またスネイプも日に日に苛々を募らせしょっちゅう生徒から理不尽な理由で減点をしていたが、それはそれで賢者の石が無事だと言う証拠だ。ハリーが今日も薬品のしぶきを飛ばしたと言う理由で10点減点されている姿を見ながら、クリスは安心して授業に臨んでいた。


 金曜日、魔法薬学の授業が終わると4人は図書室に直行した。ハーマイオニーが有り難くもない予習復習計画表なんてものを作ってくれたおかげで、嫌でも試験の日が刻一刻と近づき勉強をしなきゃという気分にさせられる。そしてこの日も、4人で机を囲み、山のような課題に追われていた。

「ねえハリー、ゴブリンの反乱を治めた人物って誰だっけ」
「僕まだそれやってないんだ。先に魔法薬学からやってるから」
「じゃあ、ハーマイオニー……」
「自分の力でやりなさい」
「クリス……」
「こっちは今手が離せない」

 分厚い百科事典から目を離さず、クリスはぶっきらぼうに答えた。みんな自分の課題をこなすので精一杯で、とても他人の面倒まで見ていられる余裕はない。ロンは諦めて自力で解こうとしたが、すぐに諦めて羽ペンをほうり投げた。

「あーっ、駄目だ限界!こう毎日毎日勉強ばっかりで頭がパンクしそうだよ」
「……そうだな、私も同感だ」

 ロンに続いて、クリスもついに音を上げて開いていた辞典を閉じた。苦手な薬草学の問題につまずいてもう何十分も経つ。それでなくとも嫌な事をするのは人一倍ストレスを感じるクリスにとって、苦手科目の試験勉強は苦痛以外の何物でもなかった。

「こんな教育は間違ってる。第一、勉強と言うのは自発的に行うものであって強制されるものじゃないんだよ。それなのになんでこう山のように宿題が出るんだ。無理やりやったって知識は身につくものじゃないし、この時間を得意科目に回せればより一層の学力向上が――」
「お馬鹿な屁理屈ばっかりこねてないで、少しは手を動かしたらどうなの?」
「ぐっ……」
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