第25章 【覚悟完了!】
ハリーだって、いくらショックだったとはいえクリスを無視し続けた事に罪の意識を感じないほど薄情ではない。ただ完全に許すタイミングを見失ない、とうとう口をきかずに今日まで来てしまったのだった。
「やっぱりな。……喧嘩するなとは言わないけど、もうちょっと器用にやれないもんかねぇ。じゃないとこっちが迷惑なんだよなぁ」
「2人に迷惑なんてかけてないじゃないか」
「分かってないね、ハリー。君がそうやっていじけてること自体がもう迷惑なんだよ。ここ最近の自分のプレイを思い出せよ。ウッドが君をチームに留まらせてたのが奇跡だぜ」
ジョージの言うとおり、シーカーとしてここのところハリーの成績は最低だった。チェイサーの行く手は邪魔する、ブラッジャーは避けない、挙句スニッチを見逃すという有様だ。これが練習でなかったら、グリフィンドールは今頃何連敗していることか。
「そんなこと言われたって、僕だって足引っ張りたくて引っ張ってるんじゃないよ。でも考える事が多すぎて上手くいかないんだ……」
クリスの事、スネイプの事、それに賢者の石にみぞの鏡に両親の事と、確かに今のハリーはいつ脳みそがパンクしてもおかしくない状態だ。これにさらにクィディッチの事まで加わったら、本当に頭の病院のお世話になってしまうかもしれない。
そんな愚痴るハリーの頭に、フレッドはげんこつを落とした。クリスの時と違って多少荒っぽいのは、野郎相手に紳士を気取るつもりが無いからだ。
「いぃっ、痛たあぁ!何も殴る事ないだろう!?」
「殴ったんじゃない、今のは気合を入れてやったんだ」
「……結局殴ったんじゃないか」
「細かい事は気にするな。いいかハリーよく聞けよ、人生の先輩として我々が有り難いお言葉を授けてやろう。――そうやって悩んだ時は、まず自分のやるべき事を決めるんだ!」
「や……やるべき事?」
「そう!そしてやるべき事を決めたら覚悟を決め、目標に向かってただひたすら突っ走る。そうすればどんな事だって上手くいくものさ。そこでハリー、僕達がまずしなければいけないことは何だ?」