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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第25章 【覚悟完了!】


 見るに耐えない鳥肌ものの演技を目の前にし、クリスは怒って2人を引き剥がした。青筋を立てて怒りをあらわにするクリスを見て、フレッドとジョージはニヤリと笑った。

「そんな怒るなよ、ハニー」
「誰がハニーだって!?ハッ、上等だ。そこまで言うなら、今日はお前達が試合でコテンパにやられる姿を見て、指差して笑ってやる!」
「やあ、それは楽しみだな」
「それじゃあ良い席とって思う存分僕らの活躍を目にしてくれよ、じゃあな!」

 まったく懲りた様子の無い双子は、真紅のユニフォームをなびかせまるで台風のように去っていった。2人が出て行った談話室の穴を見つめ、いつまでも悪態をつくクリスの後ろで、「この性格が役に立つ日もあるのね」と、双子の見事なクリスの扱いにハーマイオニーは目を丸くした。

* * *

 もう間もなく試合が始まる時間だ――フレッドとジョージは駆け足でグラウンドに向かった。本当なら選手として控え室にいなくてはいけない時間である。間違いなくウッドの大目玉を食らうことは確実だろう。しかし、フレッドもジョージも後悔はしていなかった。
 クリスとハリーが喧嘩をしていることは、今やグリフィンドールの生徒なら誰もが知っていた。あの有名なハリー・ポッターと、やはりある意味有名なクリス・グレインがあれだけ派手にぶつかったのだ。生徒達は面白半分に原因を推測し、やがて噂に尾びれと背びれが付いて、今やホグワーツ内でその話を知らない人間はいないほどだ。
 しかし野次馬どもは喧嘩の炎を見て騒ぎ立てても、誰もそれを消そうとはしなかった。そう、この2人以外は。

「お前達ちょっと目を離したスキにどこに行ってたんだ!?もう試合が始まるんだぞ!」
「悪いウッド、ちょっと腹の調子が良くなくてさ」
「緊張してるせいかな?誰かさんがやたらとプレッシャーかけるから」

 控え室に入るや否や、ウッドの怒鳴り声が響いた。この男ほどクィディッチを愛しているやつもいないだろうが、いささかキャプテンとしての使命に燃えすぎている感もある。
 現にフレッドとジョージが来たときも、ウッドは何日も前から考えていた作戦を熱心に説明していたが、逆にこの熱血ぶりに圧され、真面目に聞いている人は殆んどいなかった。なので2人がちょっと抜けたからと言って、責める者はいない。
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