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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第25章 【覚悟完了!】


 突然聞こえてきた左右からのステレオボイスに、クリスは深いため息をついた。どうしてこういうときに限って現われるのか。振り返るとロンの双子の兄貴であり、クリスの天敵とも言えるフレッドとジョージがユニフォーム姿で立っていた。

「我々がこんなに一生懸命練習に練習を積み重ね、ウッドのきついシゴキにも必死に耐えてきたと言うのに、『グリフィンドールが勝つとは限らない』なんて――」
「そこは嘘でもせめて『今日はグリフィンドールが勝つに決まってるわ、だってフレッド様とジョージ様がいらっしゃるんですもの』くらい言ってくれないと――」
「「我々のやる気が出ないじゃないか!」」
「……分かったから、選手は早くグラウンドに行ったらどう?」

 フレッドとジョージはいつもの調子で大げさなセリフをやり交わす。もう相手にする気も起きないクリスの代わりに、ハーマイオニーが投げやりに答えた。

「なんだよ、ハーマイオニーもクリスももうちょっと乗ってくれたっていいだろ?」
「今こっちはそういう気分じゃないの」
「何を言う。たった一度の人生、明るく楽しくいかなくちゃ。なあクリス!」

 フレッドがわざと強めに背中を叩くと、クリスは短い悲鳴を上げた後に鋭い視線で双子を見やった。

「そうだな。とりあえず御2人が私の目の前から消えてくれれば幸せになれるよ。ついでに今日の試合でその顔面が潰れてくれれば、もっと幸せかな」
「おやおや厳しいお言葉」
「まあ落ち込むなよジョージ、これはきっとクリスなりの照れ隠しさ」
「おおっ流石は兄弟、良い解釈だ」
「だろ?きっとクリスは、本当は僕達の事が心配で心配で仕方が無いのさ。それでここ最近こんなにやつれてしまって……健気じゃないか。『嗚呼、フレッド様とジョージ様が傍にいるだけで、私の心は張り裂けそう。それに試合中にもしもの事があったら、私……生きていけないわぁ』」

 両手を合わせてクネクネと体をよじらせるフレッドに、ジョージが優しく肩を抱く。談話室はいつしか双子による陳腐な恋愛劇の舞台になっていた。

「安心してくれクリス。例え君がそばにいなくても、僕らの心はいつも一つさ」
「……ジョージ」
「……クリス」
「だぁーー!止めろ、気色悪い!!」
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