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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第24章 【かすでんな はみぞの のみき】


「それで僕に『両親に会わせたい』って言ってきてさ、次の日の夜に2人でその場所に行く事になったんだ。でも鏡を見てみたら、ハリーの両親なんて映ってなかったんだ。でもハリーは見えるって言い張って離れようとしなくて……僕、気味が悪くなってその日は無理やりハリーを連れて部屋に戻ったんだけど、ハリーは次の日も行っちゃったんだ」
「まさかそれ以来毎晩抜け出してるって言うの?」
「いいや、初めの3日間だけさ。行っても鏡が無いんだよ。ダンブルドアが別の部屋に移しちゃったから」
「ダンブルドア先生がっ!?」

 思いがけない名前が出てきて、ハーマイオニーが声を上げると、ロンが人差し指を唇にあてて制止させた。

「シッ……大丈夫だよ、減点も罰則も受けてないから。でも見て分かるとおり、それからハリーの様子が少しおかしいんだ。ダンブルドアが言うには、同じように何人もの人間がそうやって『みぞの鏡』の虜になったらしい」
「『みぞの鏡』……それが鏡の名前?」
「そう、見る人の“心の奥にある望み”を映し出す魔性の鏡。そしてそれを見て以来、ハリーは毎晩悪夢にうなされてるんだ」
「それでハリーは寝不足だったの?」
「そうだと思うよ……高笑いが響く中で、緑色の閃光と一緒に両親が消えてしまう。そんな夢を毎晩見ていたら誰だって寝不足にもなるさ」

 クリスの胸に、またあの黒い感情が湧き上がってきた。
ハリーが望んでやまないもの、それは『例のあの人』に殺された両親の姿。しかしどんなに望んでも、もう2度と逢うことは出来ないのだ。彼はあの日の夜、『生き残った男の子』としての名誉と引き換えに、永遠に失ってしまったのだから。
 ロンはそれまで組んでいた両手を解くと、真剣な顔でクリスを見据えた。
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