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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第24章 【かすでんな はみぞの のみき】


「だけど、やっぱり私は我慢できない。ネビルは私の友達だ。確かに私はネビルに嫌われているけど、でも私にとっては同じグリフィンドールの仲間だ。その友達が馬鹿にされて冷静でなんていられないし、冷静でいたいとも思わない」

それがクリスの中にある、愚かなほど偽りの無い全てだった。喉の奥から搾り出した言葉に、否定も、賛同も無く、ただ耳に痛いほどの静寂が辺りを包んだ。それがみんなの答えなのだろう、静寂の中で孤立したクリスだったが、ただ一人、声を掛けてくれた者がいた。

「……そうだね、それが――君の良いところでもあると思うよ」

 そう言ってくれたのは他の誰でもない、ハリーだった。
気丈に構えていたクリスだったが、言葉とは裏腹に突け放す様な冷たいその声を聞いた時、無性に目の奥がツンと痛くなった。

「でも、どっちにしてももう遅いよ、きっとマルフォイは寮に戻った後だ。――おいでよ、ネビル、部屋に戻ろう。こういう日は熱いシャワーでも浴びて、早めに寝るのが一番だよ」

 ハリーは優しくネビルの肩を叩くと、そのまま男子寮に続く階段を昇っていった。2人の足音が聞こえなくなると、ロンは大きなため息を付いて椅子に座り込んだ。

「はぁ~あ、まさかこうなっちゃうとはなぁ」
「悪かったな……」
「……まあ、とりあえず2人とも座りなよ。実はまだ2人に話してないことがあるんだ」

 ロンは2人をテーブルの向かい側に座らせると、いつになく神妙な表情で両手を組み、周りに聞こえないようなるべく小さい声で語りだした。

「ほら、僕らが夜中に抜け出したって話をしただろう?実はあれ、ただ城内を巡り歩いてたんじゃなくて、本当はある鏡を見に行っていたんだ」
「鏡?」
「そう。最初の夜に図書館から帰る途中、偶然入った教室でハリーが見つけてきたんだ。ハリーのパパとママが映ってるって言う、不思議な鏡を」

 クリスは背筋がゾクッ…とした。ハリーの両親は、10年前にハリーを庇って死んでいるはずだ。他の誰でもない『例のあの人』の手にかかって。
 ロンはクリスとハーマイオニーの顔色を覗いながら、話を続けた。
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