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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第24章 【かすでんな はみぞの のみき】


「クリス、確かにハリーはあの『ハリー・ポッター』で、君がスネイプの事で期待する気持ちは僕にだって分かるよ。だけどハリーは僕らと同じ普通の男の子でもあるんだ、それをあんな風に言われたら、誰だってうんざりするよ」
「そんなのは分かってるさ、でも……」
「……クリス、ハリーが一度でも君を『グレイン家の娘』として見たことがあった?」

 決してハーマイオニーには分かりえないロンの言葉の真意は、クリスの心臓に深く突き刺さった。
 名前だけが一人歩きすることの辛ささは、過去の経験から身に染みて分かっていたはずだ。それにハリーは、グレイン家の正体を知っても、変わらず接してくれる貴重な友人なんだ。

 後悔と自責の念が、黒い野獣となって牙をたてクリスの心を喰らう。無意識に握り締めた拳には、色が変わるほど強く爪が食い込んでいたが、クリスは唇をグッと噛み締め一言も漏らさなかった。

――それじゃあクリスはその目で見たって言うの?僕が『例のあの人』を倒すところを。僕の両親が殺されるところを。君はっ……君はなにも分かってないじゃないかっ!!――

 今なら分かる、あの時のハリーの嘆き。
 いつの間にか外に降る雪が吹雪に変わり、容赦なく談話室の窓を揺らす。立て付けの悪い窓の隙間から入る風が、まるで人の悲鳴のように談話室に響いていた。
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