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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第24章 【かすでんな はみぞの のみき】


「でもダンブルドアだっているよ。ダンブルドアは『例のあの人』が唯一恐れた人物なんでしょ」
「もちろんダンブルドアも狙われるだろうが、まずスネイプが狙っているのは君だ。君を倒せば、最強の闇魔導師と恐れられた『例のあの人』を超えたも同然だ」
「まさか、そんなはずないよ。君ってホント想像力たくましいね」
「想像じゃなくて、私は事実を踏まえて話しをしてるんだ」

 クリスはだんだん自分が苛々し始めている事に気づいた。
 ついこの間、ハリー自身が箒から振り落とされそうになったというのに、この危機感の無さはなんだろう。いや、危機感が無いというよりも、ハリーはまるでスネイプの事なんてどうでもいいと思っているようだった。
 しかもハリーはクリスの目を見て話そうとしない。それがよけいにクリスの声を荒げさせた。

「スネイプはきっと賢者の石を手に入れて、自分が『例のあの人』になり代わろうとしてるんだ。そうなればヤツが君を放っておくはず無いだろう」
「……だから?」
「だからだって?まだことの重大性がわかっていないらしいな。いいか、君は殺されるかもしれないんだぞ。いや、実際もう殺されかけたんだ」
「だからって僕にどうしろっていうんだよ。大の大人に、たかが11歳の僕が敵うはずないだろ!」

 ついにハリーも大きな声を張り上げた。
 机をはさんでにらみ合う2人に、周りの人間は何事かと振り返る。ロンとハーマイオニーがどうにか2人を宥めようと声をはさんだが、一旦火が点いてしまった彼らを止めることは不可能だった。

「クリスは何か勘違いしてるよ。僕は英雄なんかじゃない。11歳の、ただの見習い魔法使いだ。僕に理想を押し付けるのはやめてよ」
「理想じゃなく、君は実際10年前に『例のあの人』を倒したんだ。少しはそれを自覚しろと私は言ってるんだ」
「自覚も何も、僕は『例のあの人』を倒してなんかいない。運よく生き残っただけだ!それなのに、みんな僕を特別な人間だと思ってる。……もう、うんざりなんだよ!!」
「運だけで生き残れるほど、『例のあの人』は甘くない!10数年前にいったい何人の人間が死んだと思ってるんだ!!そしてまた同じ事が繰り返され様としている。それを止められるのはハリー・ポッター、君だけだ!」
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