第22章 【屈辱のクリスマス・パーティ】
雪のように白い肌と、闇夜に溶け込む漆黒の髪。そしてなにより紅い、紅い、血のような2つの瞳。全身から匂い立つような美しさは、まるで1枚の絵画のようだ。惹きつけ吸い込まれるようなその魅力に、ドラコの目が釘付けになった。
「ドラコか、どうした?」
「いや、君が……ここに入っていくのが見えたから」
「……そうか」
消え入りそうな声で呟くと、クリスはまた夜空を見上げだした。いつもとは違う生気の無い顔。その儚げな横顔を見て、ドラコはクリスが泣いているのではないかと思った。だがその白い頬にも紅い眼にも涙の痕すらない。
いつの頃からだっただろう、時々こうやって、クリスがはっとするほど美しい顔をするようになったのは。少し物憂げな表情で、静かに虚空を見つめている。その間は一体何を考えているのか、何を見つめているのか、それは彼女にしか分からない。
数年前にも1度だけ、こんな風に物思いに沈むクリスを見たことがあったが、その時も何を思っているのか分からなかった。ただいつものクリスとは思えないほど孤独で儚げで、そして美しかった。
こんな表情をグリフィンドールの連中は知らないかと思うと、ドラコの中にある独占欲が刺激された。