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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第22章 【屈辱のクリスマス・パーティ】


 てっきり怒るか呆れるかと思った父は、それ以上何も言わなかった。入学前はあんなにしつこく言っていたというのに。
 不思議に思いながらも、黙って父の後ろについていたクリスだったが、サロンに1歩足を踏み入れたとたんそんな事はどうでも良くなってしまった。大広間を兼ね備えたサロンはとにかく広く豪華に飾りたてられ、そこに集まる人々もそれ相応に着飾り、間違ってもサンタクロースのような格好をした人など一人もいない。目の前の父でさえ品のある濃紺のパーティローブを着ている。
 とにかくあまり目立たぬよう、クリスは父の陰に隠れるようにぴったりと寄り添った。それでなくともパーティは大嫌いなのだ。さっさと挨拶間回りを終えて、さっさと帰りたい。

 マルフォイ家のパーティに訪れる人は、皆旧家の御貴族様か各方面の御偉い方ばかりである。いくら当主の旧友だからと言って、今のグレイン家にとってこのパーティは少し分不相応だろう。しかし習慣と言うのは恐ろしく、裏では陰口を叩きながらも未だにグレイン家の当主にご機嫌を伺いに来る者が絶えない。それほど、グレインの名は長い間この魔法界に影響を与えてきた。

「これはグレイン様、今宵はお目にかかれて光栄です」
「お久しぶりです、ベンウッド卿」
「そちらはお嬢様ですか?暫く見ない間に美しく成長されましたな」
「……恐れ入ります」

 こういったパーティで一番嫌なのは、息苦しいコルセットよりも腹を探り合う大人達の会話よりも、ねぶる様な視線と共に送られるお世辞だった。クリスの場合その外見の所為で大抵容姿を褒められるが、腹の中では別の事を考えながらこんな子供にも媚を売るその態度はハッキリ言って醜い。
 クリスは愛想笑い一つせず礼を言うと、それ以上は一言も話さなかった。やがて父とベンウッドの上辺だけの会話が終わると、すぐまた別の男が近寄ってきた。その男も父と簡単な挨拶を交わすと、予想通りクリスの容姿を褒めた。そしてその次の男も、夫人と一緒になってクリスを持て囃した。

「今夜のドレスは、クリス様の白い肌によく映えますな」
「ええ本当に。イギリス中を探したって、こんな美しい方は2人といないわ」
「お褒め頂き……光栄です」
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