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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第21章 【スネイプの秘密】


 もし「一緒に行く」なんて言われたら、折角の計画が水の泡だ。クリスは早口で捲くし立てると、振り返ることなく直ぐに炎の渦に飲み込まれて行った。

 炎の中通いなれた漏れ鍋の暖炉に降り立つと、店主のトムに軽い挨拶をしてからダイアゴン横丁に出た。立ち並ぶ店はどれもクリスマスムード満点の装飾がなされ、ショウウィンドウには子供の目を惹く商品がずらりと並んでいる。クリスもついつい目を奪われながらも、目的どおり書店に向かった。

 ダイアゴン横丁一の書店はクリスマス用に飾り付けられ、クリスマスに相応しい絵本や物語が大量に平積みにされている。店内はプレゼントを買いに来た客で入れ込んでいて、おかげでクリスがどんな本を読んでいようと店員に気づかれる事はない。
 クリスはまず、呪い関係の本に手を伸ばした。もしスネイプが自分の思っている様な人間なら、狙っている物は危険である可能性が高い。ざっと目を通し、ニコラス・フラメルの名前が無い事を確認すると、クリスは次の本を手に取った。そしてその本にも名前が載っていないと分かると、また次の本を取る。

 それを何回も繰り返していると流石に疲れてきたので、少し休憩しようとクリスが出入り口に向かったとき、視界の端に見慣れた栗毛の女の子が映り、思わずそこが店先という事も忘れて少女の名前を叫んだ。

「ハーマイオニー!?」
「あっ……クリス!!」

 見ればハーマイオニーも分厚く難しそうな本を開いている。やはり考える事は同じという事か。

「何か見つかったか?」
「全然よ。クリスの方はどうなの?何か聞けた?」
「それが……スネイプに関して、少し気になることを聞いたんだ」
「気になること?」
「――シッ……」

 周囲に目線を配っていたクリスは、ちょうど見覚えのある少年が近づいてくるのに気づいた。黄土色の髪をしたその少年は、クリス達と同じグリフィンドール生のシェーマス・フィネガンだった。

「やあ、こんな所で合うなんて奇遇だね」
「こんにちはシェーマス。今日はお買い物?」
「うん――って言っても、クィディッチ雑誌だけどね。ハーマイオニーは凄いね、そんな分厚い本も読むの?」

 シェーマスの視線がハーマイオニーの持つ分厚い伝記に移り、ハーマイオニーは慌てて本を閉じた。
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