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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第21章 【スネイプの秘密】


「おじ様、お願いがあるんですけど――」
「クリスからとは珍しいな、言ってみなさい」
「2,3日書斎を使わせていただけませんか?少し調べたいものがあるんです」

 「書斎」と聞いて、それまで穏やかだったルシウスの目が一瞬光った。しかしルシウスはすぐに呆れたような笑みを見せて、何事もなかったかのように振舞った。

「勉強熱心なのはいい事だが、何もクリスマスまで本にかじりつく事もないだろう。折角の休暇だ、少しは羽を伸ばしたらどうかね?」

 にべもなく一蹴した訳でもないのに、ルシウスの言葉にはそれ以上の追求を許さない力があった。
 昔から書斎をただの仕事部屋としてではなく、この静かで孤独でどこか異質な空間に思い入れ、特別視している人間は決して少なくない。ましてやルシウスほど警戒心が強い男が、そんな大切な場所に訳も無く自分以外の誰かを立ち入らせるはずがない。
 その昔にドラコと忍び込んでこっ酷く怒られた事を思い出し、クリスはそれ以上強く頼まなかった。

 食事を終えて部屋に戻ると、クリスはベッドに寝そべりながら、何か他に良い方法はないかと頭を抱えた。やはり実家の書庫で調べるのが1番安心で、1番手っ取り早いだろうが、せっかちなクリスにクリスマスが終わるのを悠長に待つなんて事は出来ない。

「……でも今帰ったら、きっとチャンドラーが煩く追及してくるだろうしな――そうだ!」

 ベッドの上で暫くごろごろと寝返りを打ちながら唸るクリスだったが、突如、ハッと閃いた。

「ダイアゴン横丁だ――あそこなら本屋もあるし、現場のグリンゴッツもある!」

 そうと決まれば、早速明日に備えて早く寝ようとベッドにもぐりこむ。ふかふかのベッドの中で、全く自分は天才ではないかと自画自賛し、クリスはその日の晩、健やかな気分で早々と眠りにつくことができた。
 翌朝目を覚ますと、クリスは素早く身支度を終えて大広間の暖炉の前に立った。頭の中はもう本屋の事しか考えていない。はやる気持ちでフルーパウダーを暖炉に投げ込んだ時、間の悪い事にドラコが姿を見せた。

「おはようクリス。どこかに出かけるのかい?」
「ああ、ちょっと買い物に。日が暮れる前には帰るから――ダイアゴン横丁!」
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