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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第21章 【スネイプの秘密】


 しかしクリスのグリフィンドール入りに強く反発していたドラコからすれば、自分の意に反してグリフィンドールで楽しくやっているクリスが気に食わないらしい。スリザリンに移れない事を聞いて安心するクリスに対し、これ見よがしにため息をつく姿は父親そっくりだった。

「まったく、グレイン家は代々スリザリン出身者ばかりなのに、どうしてクリスだけ……」
「そう言うなドラコ、それにクリスのお母上は確かグリフィンドール出身だ。もしかしたら、クリスはお母上の血を濃く受け継いでいるのかもしれないな」
「……えっ?」

 思いがけず告げられた事実にクリスは一瞬頭の中が真っ白になり、ルシウスの言った言葉を理解するのに数秒を要した。そして理解できるや否や、今度は胸が張り裂けそうなほど嬉しくなった。
 幼い頃から周りの大人たちは、母のことをまるで触れてはいけない禁句のように話題にしたがらなかった。聞いていたことといえば「優れた召喚師だった」と唯それだけで、当然出身寮など知るはずがない。しかし長年憧れつづけた母が、自分と同じグリフィンドール出身。それだけでクリスの体が熱くなってきた。

「そうなると、召喚術の方はどうだ、クリス。正式に杖を継承してから5ヶ月近く経つが、なにか変化はあったかな?」

 ルシウスの薄い灰色の瞳が期待をはらみつつ、クリスの握る召喚の杖に向けられた。手の中にある杖からは、まるでクリスの喜びに応えるかのように、いつもより強く力を感じる。

「まだ目に見える兆しはありませんが、以前より精霊の力を強く感じています。それに母から受け継いだ大切な力でもありますから、これからも焦らず向き合って行きたいと思っています」
「それはいい心がけだ。召喚師といえども、その全ての人物が力の覚醒に成功した訳ではないからな。……やはりクリスは気高い血を引いているだけのことはある」
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