第20章 【detective】
そうこうしている内に列車が走り出し、クリスは窓から流れる景色を眺めながら考え事をしているとドラコの方から話しかけてきた。
「そうだ、クリス。今年も我が家のクリスマス・パーティに来るんだろう?」
「一応そのつもりだけど」
「あぁ~ら、グリフィンドールのお友達からはパーティに誘われなかったの?いつもあんなに一緒にいるのに」
「お前こそ、今年はお仲間の猿に誘ってもらえたのか?ああ失礼、仲間はトロールだったっけ。ハロウィーンの日はずいぶん世話になったよ」
「~~クリスッ!君もわざわざ喧嘩を売るな」
ドラコは苦虫を噛み潰したような表情をすると、今度はクリスを叱った。ドラコとしては下らない口喧嘩を聞かずにクリスマスを迎えたかったのだが、この2人にそんな事を求める事自体、不可能と言うものだ。
クリスはふんっ、と怒って鼻息荒くパンジーから目を逸らしたが、内心ではほくそ笑んでいた。勝手に口から出た買い言葉だったが、どうにかスネイプに繋げる糸口を思いついた。
「ああ、そうだハロウィーンで思い出した。あの日、駆けつけてきてくれたスネイプ先生が足に怪我をしていたんだけど……誰か、どうしてだか知らないか?」
口に出してみると、緊張して自分の声が微かにうわずっていている事にクリスは驚いた。まず手始めにドラコ達がどこまでスネイプの計画について知っているか探りを入れようとしたのだが、これでは怪しまれやしないだろうか。あまり感心がない風を装いながら思わず杖を握る手に力を込めると、ジンワリと手のひらに汗をかいていた。
「いや……そういえばその頃から足の調子が良くなかったみたいだけど、原因は知らないな。スネイプ先生はあまりご自分の事を話したがらないから」
「でも寮監だろう、少しも話しをしないのか?」
「貴女の所の寮監はどうだか知らないけど、スネイプ先生はお忙しいのよ」
クリスはドラコとパンジーの態度を見るに――悪いがグラップとゴイルは初めからアテにしていないので――彼らはスネイプの計画を知らされていないと察した。もし知っていたら、教えたがりで自慢屋のドラコとパンジーの事だ、全てを教えてくれないにしても“何か臭わせるような態度”をとる筈だが、それが今回は見られない。
仕方なくクリスは質問を変えることにした。