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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第20章 【detective】


 急かすクリスの肩越しに、ドラコは言い足りなさそうにハリー達を見たが、やがて諦めて馬車に乗り込んだ。ゴイルもその後に続き、クリスも3人に挨拶をしてから馬車に乗った。ホグワーツの馬車は御者どころか馬さえいないヘンテコな馬車だったが実に優秀で、すぐにホグズミード駅まで着いた。
 12月の空気は冷たく、馬車から降りるとクリスはその寒さにマフラーで顔を半分埋め、その隣りでドラコも寒そうに肩をすくめている。

「早く乗ろう、グラップに先に行かせて席を取らせてあるんだ。ゴイル、僕とクリスの荷物も持って来いよ」

 確かに前の方のコンパートメントには確かにグラップが座っていたが、1人ではなく、向かいにおかっぱ頭の女の子が座っていた。グラップは女の子を気にも止めず1人で持って来たお菓子の袋を次々と開け、女の子は女の子でグラップを無視して一心不乱にコンパクトを覗き込んで髪を整えている。

「……どうしてパンジーがいるんだ?」
「そんなの僕が知るか――おい、パンジー。今日は君を呼んだ覚えは無いぞ」
「あら、ドラコ――って、何であんたまでここにいるのよ、クリスッ!」

 扉を開けたと同時に放たれたドラコの言葉をパンジーは見事に無視すると、肩越しにクリスを睨みつけた。ここまでくると、怒りを通り越してパンジーのこの厚かましさは長所のような気がしてくる。そんな彼女をここから追い出すのは無理だとクリスの第6感が告げていた。

「まあいい、突っ立っているのもなんだし、とりあえず座るか」
「何言ってんのよ。グリフィンドールはグリフィンドール同士で座りなさいよ」
「パンジー、喧嘩するなら出て行ってもらおうか」

 ドラコに怒られて、パンジーはやっと大人しくなった。顔はまだ何か言いたそうだったが、パンジーとしてはドラコの機嫌を損ねたくはない。それでも、ちゃっかりドラコを自分の隣りに座らせる辺りが流石と言わざるを得なかった。恋する乙女はいつだって狡賢く抜け目ない。
 クリスもグラップ・ゴイルの隣に座ってとりあえず一息つくと、どう話しを切り出そうか考えた。
 実はどうやってスネイプの事を探るかなんて考えてもいなかったし、そんなもの考えたところで役に立つ自信も無い。そもそもこの計画すらその場でひらめいたほどの計画のなさだ。
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