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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第20章 【detective】


「副校長より一介の教師の方が忙しいとは思えないけどな――…ま、いい。ついでに聞くんだけど、スネイプ先生の私への態度って、少し変だと思わないか?なんだか他の生徒と比べると余所余所しいって言うか」
「なんだ、そんな事――当たり前じゃないか、君はあの“グレイン家”の一人娘だぞ」
「…あ……あぁ、そういうこと、か……」
 
 あまりにもあっけなさ過ぎる理由に、クリスは今まで張り詰めていた緊張もそれ以上の気力も、一気に抜けていくのを感じた。

 “慣れ”とは何て恐ろしいのだろう、入学してから誰一人、ハリーもロンもハーマイオニーもクリスを「クリス」として受け入れてくれていた所為で、自分が「グレイン家の娘」だと言う事をすっかり忘れていた。
 スリザリンの末裔と言われている所為で、純血の魔法使いは「グレイン」という名だけで畏怖か畏敬の念を抱く。どちらにせよ「グレイン」の名前はそれほど力を持ち、近寄りがたい存在だった。特に時代が溯れば溯るほどその傾向は強くなる。

「なるほど、スネイプ先生が純血主義だったとはね。それにしても、あんまり話さないって言ったわりには、よく知ってるな」
「当たり前だろう。父上の後輩だったんだ、それくらいは知ってるさ」
「へぇ――……え?」

 聞き捨てならない台詞に、思わず耳を疑った。

「おじ様の、後輩?スネイプ……先生が?」
「そうさ。……まさかクリス、知らなかったのかい?」

 答える代わりに、クリスは首を左右に振った。自分の父親とドラコの父ルシウスが同級生だったと言う事は知っていたが、スネイプが後輩なんて事は聞いたことがなかった。
 驚いていたのはクリスだけで、この事はスリザリン生の間では有名なのか、グラップもゴイルもパンジーさえも「今さら何を」という顔をしていた。しかし確かにそれならスネイプの妙なドラコ贔屓にも理由がつく。

「…しかし……」

 次々と明らかになる思わぬスネイプの背景に、クリスは眉根を寄せた。純血主義、父との繋がり、ハリーへの憎悪、スネイプの企み――

(…まさか……でも、可能性は十分ある)

 もしかしたらこの事件は自分で思っているより、もっと深い部分が絡んでいるのかもしれない。小さく呟いて、クリスは左手首を握り締めた。
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