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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第20章 【detective】


 各界のお偉い方や、クリスの家とは違って名実揃った貴族等が多く集まるマルフォイ家のパーティは、子供が行ったって楽しいはずがない。
 だが家に帰れば、例の書斎からニコラス・フラメルについてなにか手がかりがつかめるかもしれないという期待もある。

「ウルキ、父様はいつ頃までに返事をよこせと言っていた?」
「イッシュウカン ト オッシャッテマシタ」
「……いいよなぁ、ペットと会話できるなんて……うらやましい」

 うっとりとした声で、ハリーが一人ごちた。
 誰だって1度は自分のペットと話してみたいと思うはずだ。しかし人語を解し、自らも話す動物などそういるものではない。そういった意味では、同じ鳥類であるヘドウィグを飼っているハリーからすればフギンやムニンは少し憧れの存在なのだろう。

「興味があるなら、少し話しかけてみなよ。ウルキも喜ぶ」
「えっ、良いの!?」
「そう多くは喋れないけどな。簡単な質問なら答えられるから」

 ハリーはエメラルド・グリーンの瞳をきらきら輝かせると、コホンと一つ咳払いをしてから「はじめまして」と自己紹介を始めた。するとウルキもハリーを見つめながら「ハジメマシテ」と返した。
 少しずつ、ぎこちないが会話を進める1人と1匹に興味が沸いたのか、いつの間にかロンとハーマイオニーも加わり、3人はウルキに夢中になって声をかけている。微笑ましい光景に、クリスは横目で見ながらクスリと笑った。

「おやおやポッター、朝からカラスとずいぶん楽しそうに会話してるじゃないか。……ひょっとして飛び方でも教えてもらっているのかい?」

 そんな朝の団欒中に、まるでタイミングを見計らったかのように現われた鼻持ちならない声と、それに調子を合わせた笑い声が聞こえてきた。クリスはこめかみを押さえ、深いため息をついた。

「そりゃいい心がけだ、次の試合でまた無様な姿を晒すわけにはいかないからな。ついでにウィーズリーも教わったらどうだい?どうせ君の家では箒1本買えなくて、小枝集めから始めなきゃいけないんだろう。それなら羽根を集めても手間は変わらないんじゃないかい?」
「ドラコ、喧嘩を売りに来ただけなら帰れ。紅茶が不味くなる」
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