第20章 【detective】
次の日から、4人は暇さえあれば図書館に足を運んでニコラス・フラメルの事を調べ始めた。ハーマイオニーが図書館の記録からニコラス・フラメルに関係ありそうな物をリストに載せてくれたので本を探す手間が省けたし、今回は4人で調べるから以前クリスが独りでやっていた時よりも数段効率が良かった。にも拘らず、ニコラス・フラメルの詳細はいっこうに分からなかった。
「ニコラス・フラメルがダンブルドアに託した小さな包み、それをスネイプが狙ってるのか……きっとよっぽどの物なんだろうね」
「ただ狙ってるだけじゃないよ。三頭犬に噛まれたって、僕を殺してだって手に入れようとしてるんだ――いや待てよ、確かあの時クリスも職員室にいたよね。って事は、クリスもスネイプに狙われているかもしれない」
「ああ、その事なんだが……」
丁度いい機会だと思い、クリスは昨日言いそびれたスネイプの怯えたような表情と、度重なるクィレルへの不信を打ち明けた。
「スネイプも十分怪しいけど、私はクィレルも怪しいと思うんだ。もしかしたらクィレルはスネイプと手を組んでいるのかもしれない。それにハロウィーンの日だって、トロールの事を知らせに来たのはクィレルだっただろう。きっと事前に2人で計画を立てていたんだ」
「クィレルがスネイプと手を組んでるだって?あり得ないよ」
ロンはクリスの推測を真っ向から否定し、ハリーもハーマイオニーも「そんな事あるわけが無い」とでも言いたそうだった。実は言った本人のクリスだって、そうすると話が繋がるというだけでクィレルが本当にスネイプと手を組んでいるとは思っていなかった。
なにせクィレル先生といえば、教室にハチが入り込んできたら真っ先に教卓の影に隠れ、双子とリーの3人にターバン目がけて雪玉を連続でぶつけられた時は本気で泣きながら逃げるような人だ。とても人の命を狙うような悪人には見えない。
「ほら、でもハリーだって入学式の時に傷が痛んだじゃないか。あれは――」
「あれはスネイプを見た時に痛み出したんだよ」
「むう……そう言われるとなんとも言えないな」
「クィレルはスネイプと手を組んでると言うより、むしろスネイプから脅されてるんじゃないかしら。例えば――何か呪いをかけられているとか」
「ニンニク臭くなる呪いとか?」
「もう、ロン!」