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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第1章 【深窓のご令嬢?】


「大体、お嬢さまは家に閉じこもってばかりで、せっかくご主人様に新しい箒を買っていただいたのにちっともお使いになられない。かと思えば無断でマグルの町にお出かけになったり、森の奥深くまで足を運んでみたり。とくに先日ドラコ様との事件!あの時は寿命が10年は縮みましたぞ!!」

 その言葉を聞いて、それまで平然と菓子を食べていたクリスの手がピクリと止まった。実は彼の言っていることには一部間違いがある。彼女は箒を使わないのでなく、箒が手元にないのである。

 というのもつい先日、幼馴染のドラコ・マルフォイが遊びに来たときのことだった。クリスは常日頃から家の中で本を読んで過ごすことのほうが多かったので、これではいかんと思ったチャンドラーが、主人であるクリスの父親に頼んで彼女に箒を買い与えたのだ。

 だがクリスには、小さい頃に父親の箒を勝手に拝借して遊ぼうとしたとき、空を飛ぶどころか全く何の反応も示さなかったので、怒って癇癪を起こし、しまいには箒をぶっ壊して怒られたという苦い経験があった。それ以来クリスは箒で空を飛ぶと言うことに興味をなくし、買ってもらったばかりの箒は部屋のオブジェと化していた。

そしてある日、壁に立てかけられたままの真新しい箒にドラコが気付くと、どうしても乗ってみたいと言い出したのだ。

 聞くところによると、その新しく買ってもらった箒というのは超・最新式の大人気商品らしい。まあそう言われると、興味が湧かないでもないし、幼馴染が珍しく眼を輝かせながら乗ってみたいというので、ドラコを操縦者に、2人で箒の試運転をすることになった。

 屋敷を取り巻く森の奥深くには、たくさんの動植物だけでなく、得体の知れない魔物やタチの悪い魔法植物、他にも人に害をなす妖魔などが住み着いており、それらの進入を防ぐために家の周り半径数百メートルほどに複数の結界が張られている。

 その為クリスは家の周りで遊ぶときはその結界の範囲内にある庭と、家を囲む森のほんの一部だけと言いつけられていた。
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