• テキストサイズ

ハリー・ポッターと小さな召喚士

第19章 【クィディッチ】


 ハリーが動き出すと、それに気づいたスリザリンのシーカーも後を追いかけた。しかしハリーの方が僅かに速い。ハリーがスニッチを掴む、誰もがそう思ったその時、スリザリンのマーカス・フリントがそのトロールのようなデカイ図体にモノを言わせ、ハリーの身体を突き飛ばした。

「反則だ!審判、退場させろ!レッドカードだ!!」

 すぐさまロンの隣でディーンが吼え、グリフィンドール席のあちこちからもブーイングの嵐が飛んだ。しかしクィディッチのルール上、グリフィンドールにペナルティシュートが付くだけで選手が退場される事はない。
 スニッチもその間にどこかに消えてしまったようで、試合は仕切りなおしとなりハリーは再び高度を上げる。が、箒がなかなか安定しない。クリスは初めは体当たりをモロに受けた影響かと思っていたのだが、違った――明らかに、箒は狂ったようにジグザグに飛び回り、ハリーを振り落とそうとしている。

「おおーっと、これはどうしたことでしょう!?突然ハリーの箒がコントロールを失ったぞ!」

 他の観客もそれに気づき始め、皆試合そっちのけでハリーに視線を移し会場はざわめき立った。もう誰も歓声を上げるものはいない、不穏の空気がグラウンド全体を包む中で、ハリーは必死に箒にしがみ付いている。ハーマイオニーはもう顔面蒼白、クリスも口から胃が飛び出しそうな気分だった。

「こりゃ一体どうしたんだ……あのハリーが箒のコントロールを失うとは思えんし」
「もしかして、フリントに体当たりされて箒がイカレちゃったとか」
「まさか!強力な魔法以外ニンバス2000にゃ悪さ1つできん。たかだかチビッ子が1人ぶつかったくらいで壊れる箒じゃない」
「強力な――魔法?」

 ロンとハグリッドの会話を耳にしたハーマイオニーは、ハグリッドの手から大きな双眼鏡を素早くとりあげると教職員席に向けた。クリスも急いでジョージからもらった双眼鏡を取り出し、職員側のスタンドに目を向ける。
ハリーに呪いをかけようとする人間なんて、このホグワーツには2人しかいない。1人はドラコ・マルフォイ、そしてもう1人は――

「いたわ、あそこよ。……やっぱりそうだわ」

教職員の集まるスタンドでハーマイオニーとクリスが見たもの、それは杖を取り出し、必死の形相で口早に呪文を唱えるスネイプの姿だった。
/ 375ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp