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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第19章 【クィディッチ】


 ハグリッドの言葉に、ロンとハーマイオニーが試合から目を離し、クリスの顔を見た。するとハグリッドの言うとおり、確かにクリスの目の周りには黒いインクが綺麗な円を描いている。しかも、擦っても擦っても落ちる気配すらない。

「あっ、分かったわ!きっとこれの所為よ」

 ハーマイオニーはクリスの使っていた双眼鏡を手に取り、指先でちょっと目のところを擦った。するとクリスの目と同じ黒いインクが、ハーマイオニーの指先を染めている。

「フレッドとジョージだ……あの2人、しょっちゅう悪戯グッズを作ってるから……」
「はっはっはっは!流石のクリスも、あんのお騒がせ兄弟には敵わねぇようだな!」
「――あ、あいつらぁ~~!」

 クリスは跳ぶようにスタンドの柵に詰め寄ると、身を乗り出してピッチに向かって大声で叫んだ。

「ふざけるな!ウィーズリー降りて来い!貴様らこの私を騙してタダで済むと思うなぁ!」
「さあっ!ただ今の得点は20-0でグリフィンドールの優勢です!!」

 しかし、それも全てリーの一際大きな実況中継によって遮られ、フレッドとジョージの耳に届く事はない。ブラッジャーを追いかけている彼らは、知ってか知らず科意気揚々と空中を滑走している。手すりにかじり付きながら2人の様子を探っていると、スリザリンのビーダーが双子の片割れ目がけてブラッジャーを打ってきた。

「よしっ!今だ、潰されてしまえ!」
「――ウィーズリーがブラッジャーを打ち返したぁ!フレッドが……あ、いやいやジョージか?まあいい、とにかくやったぜ相棒!!――」
「ええいっ惜しい、もう少しだったのに…」
「君はいったいどっちの応援をしてるんだよ!」

 本気で悔しがるクリスに、ロンが横から突っ込んだ。
フレッドとジョージのお蔭で熱が入ったクリスは、自分でも気づかない間に試合に熱中していた。点が入れば歓声を上げ、フレッドかジョージが活躍すれば悪態をつく。何回かそんな事を繰り返しているうちに、ついに上空を旋回していたハリーが、一点を目がけて猛スピードで降下してきた。

「スニッチを見付けたんだ!」
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