第19章 【クィディッチ】
ハリーは作戦会議があると言うので一足先に控え室に向かった。
クリス達は10時過ぎにグラウンドに行くと、応援席はもう沢山の生徒で賑わっていた。クリスはロンとハーマイオニー、それとネビル、ディーン、シェーマスと一緒に席をとり、ハリーが出てくるのを待つ。手製の横断幕は風を受けて豪快にはためき、その度に『ハリー・ポッターを大統領に』という文字が7色に輝いていた。
「出てきたっ!」
ロンが叫ぶと同時に、赤いクィディッチユニフォームを着た団体が選手入場口から姿を現した。その反対側の入口からは、緑色のユニフォームを着たスリザリンチームが姿を現し、両チームの選手が一同に整列をする。ハリーは選手達の中で1番身体が小さいので、すぐに見つけられた。
15本の箒がフワッと空に浮かび上がると、クリスは双子からもらったちいさな双眼鏡でハリーをの姿を追った。朝はガチガチに固まっていたハリーだったが、箒に跨って空に浮いているハリーは緊張などどこかにいってしまったようだ。
そして間もなくフーチ先生のホイッスルにより、試合開始の合図がなされた。
「――試合開始です!」
明朗快活なリーの掛け声とともに、グラウンドいっぱいに生徒の歓声が響き渡る。双眼鏡を通して見えるハリーは、上空を旋回しながらピッチのすみずみに目を配り、時折間違えて向かってくるブラッジャーを避けるだけで活躍らしい活躍はない。
しかしハリーより下の空中では今まさに、手に汗握る接戦が繰り広げられていた。
「――ジョンソン選手がゴールポストに向かって疾風のごとく駆け抜け、今……ゴーール!やりました、グリフィンドールの先制点です!!」
途端にグリフィンドールの応援席からは破裂するような歓声が上がり、クリスの隣りに座っているハーマイオニーもイスから立ち上がってピョンピョン飛び跳ねている。
「よう、すまんがちぃっとだけ詰めてくれんか?」
すると丁度そこに、聞いたことのある声が耳に入った。双眼鏡から目を離すと、分厚いコートを羽織り、大きい体をより膨れ上がらせたハグリッドがすぐ脇に立っている。
「久しぶりだな、お前ぇたち――ってクリス、いってぇどうしたんだ、その目!」
「目がどうした?」
「目の周りが真っ黒になっちまってるぞ!」