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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第19章 【クィディッチ】


 何かを企む悪戯っ子のような笑いを浮かべながら、ジョージがクリスの顔をのぞき見た。寝起きで、尚且つ睡眠時間も2時間足らずしかとっていないクリスはかなり不機嫌だ。目の前に選手がいようと、眉根を寄せてきっぱりと否定した。

「まさか、クィディッチなんて興味ない。今日だって応援するのはハリーだけだ」

 そう言うとフレッドとジョージ、リーの3人はお互いの顔を見合わせた後、まるで天然記念物を見るような目でクリスを見つめた。

「何だその目は。クィディッチが嫌いで悪いか」
「んー……悪くは無い。けど、良くも無いな。だってそうだろう?」
「人生嫌いなモノより、好きなモノが多い方が良いに決まってるじゃないか」

 なるほど、一理ある。と思ってしまったのは、それほどこの3人が傍から見ても人生を楽しんでいるように見えるからか。言い返す言葉を失ったクリスに、ジョージがポケットからちいさな双眼鏡とチアホーンを取り出し、それをクリスの手に押し付けた。

「と、言うわけで君にこれをあげよう」
「何だこれ」
「よくぞ聞いてくれた。これこそ僕達の開発した自慢の一品、ハイパー・クィディッチ応援グッズさ。まだ試作段階だが、それを使えば盛り上がること間違いなし!見る方もやる方も楽しくなるという代物さ」
「なんだったら放送席に来る?観戦は初めてなんだろ?その方が盛り上がるし、1人くらいなら融通がきくよ」

 リーがそう申し出ると、なぜか双子が「そりゃいい、大賛成だ」と喜んだ。あれこれ気を使ってくれるのはあり難くもないが、ロンやハーマイオニーもいるのに1人だけ席を移動するのも乗り気がしない。クリスが断ると、リーは簡単に身を引いた。それでも顔は笑ったままだ。

「じゃあ俺たちはそろそろ行くよ。ハリー、ちゃんと飯食っとけよ。チームの勝利はお前にかかってるんだからな」

 最後にフレッドがハリーの肩を叩いて励ますと、3人はさっさと大広間を出て行ってしまった。

「なんだったんだ……今の」
「さあ?あの3人のすることは、僕にだって分からないよ」

 彼ららしからぬ潔い引き際に違和感を覚えながらも、クリスはもらった双眼鏡とホーンをローブのポケットにしまった。
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