第18章 【生徒は見た!】
「ん~、僕もよくわかんないけど……相手を思いやる事じゃない?」
「思いやる、か。よし、明後日の試合は必ず応援にいってやるぞ、ハリー。友達として」
「……僕を思いやるなら、あんまり応援には来て欲しくないなあ」
ハーマイオニーとは全く正反対の事を言うハリーにクリス、は訳が分からなくなって再び首をひねらせた。
* * *
と、まあそんな訳でブレスレッドの事などすっかり忘れてしまい、思い出したのは次の日の朝、授業が始まる前にラベンダーから催促された時のことだった。
それから授業が終わるたびにラベンダーとパーバティの2人から「まだか、まだか」と急かされ、なかなかスネイプの所にまで行く決心のつかないクリスは、その日の授業が終わると逃げるように中庭に避難した。
「嫌なら嫌って言えばいいのよ。なんだったら私が言ってあげましょうか?」
「いや、いい。約束は約束だ、自分でどうにかする」
「でも意外だよ。クリスって人に頼まれると断れないタイプだったんだ」
ろくな防寒着も持ってこなかったので皆で固まって暖を取ってみるが、それで11月の寒さに耐え切れるはずがなかった。
ハーマイオニーが魔法で青い炎を出してくれたので、有り難くそれに当たりながら少しでも寒さを紛らわせようと、ロンとハーマイオニーとクリスの3人は真っ白い息を吐き出しながら盛んに口を動かしていた。
ハリーは昨夜ハーマイオニーから借りた「クィディッチ今昔」がよほど気に入ったのか、1人会話に加わろうとはせずに黙々と本を読み続けている。
はたと気づくと、立ち上る白い息の向こう側にポツンと黒い影が立っていた。その黒い影もこちらに気づいたのか、びっこを引きながらクリス達を目がけて近づいてくる。目を凝らすと――あろうことか影の正体はスネイプだった。
とっさに青い炎を背中に隠す。だが、それがいけなかった。なんとか炎は隠しきれたものの、そんな挙動不審な行動を、あのスネイプが見逃すはずが無かった。
「お前達はこんなところで何をしている」
スネイプの質問に誰も答えなかった。口を開けば、たちどころに炎のことがバレて減点されるような気がしたからだ。しかし話さなくても、スネイプは勝手に罰則を仕立て上げた。