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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第18章 【生徒は見た!】


 通いなれた談話室への帰り道が、どうにも気が重くて足も思うように進まない。おまけにため息も出てくる中、クリスはネビルのことを考えていた。
 ハーマイオニーとの時は、トロールという困難を乗り越えたお蔭で妙な連帯感が出来て仲良くなれた。じゃあ今度も、といきたい所だが、流石のホグワーツもそうトロール級の危険がごろごろと都合よく転がっている訳がない。ふと頭を過ぎったのは例の三頭犬だが、再びネビルをあそこに連れて行ったら、もう視界にさえ入れてくれなくなってしまうだろう。その前に三頭犬は危険すぎて命の保証がない。

「う~ん……こんな事ならホグワーツ特急でからかわなければ良かったな」
「ホグワーツ特急がどうしたって?」
「ん?――ハリー!?」

 一体いつから隣にいたのか、気が付けばハリーが不思議そうにクリスの顔を覗き込んでいた。クィディッチの練習帰りでローブはドロドロに汚れ、顔にまで泥がついている。試合が明後日に迫っているから散々しごかれたのか、箒を杖のように支えにしていた。

「ずいぶんお疲れみたいだな」
「うん、もう大変だよ……箒って思ったより体力使うんだね。空に浮いてるから、もっと楽な乗り物だと思ってた」
「それは、私に対する嫌味かな?」
「あっ、いや、そういう訳じゃ……」

 最近では前よりスムーズに箒をつかめる様になったクリスだが、未だに箒で空を飛んだ事がない。クリスに凄まれ、ハリーは慌てて首を振って否定した。この弱ったように眉尻を下げて首を振る姿は、確か前にも見たことがある。
 あれは確かホグワーツ城に入城するボートの上だ。家が“例のあの人”側についていたと知って「友達をやめるか」と自嘲したクリスに見せた表情だ。思えばハリーもロンもコンパートメントでからかったのに、変わらず仲良くしてくれている奇妙――もとい貴重な友人だ。それなら一体ネビルと彼らの違いはどこにあるのだろうか。

「友達ってなんだろうな。どうすれば友達になれるんだろう」

 何の前触れもなく突然話しを変えたクリスにハリーはしばし呆気に取られたが、都合よく飛行訓練の話も忘れてくれているみたいなので、ハリーはそのままクリスの話に乗っかった。
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