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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第18章 【生徒は見た!】


「はい、この本でいいの?」
「あっ……ありがとうハーマイオニー」

 ハーマイオニーと仲良くなって1番得したのはハリーだが、1番ガッカリしたのはおそらくネビルだろう。以前はハーマイオニーが勉強を見てやったりと何かと世話を焼いていて密かに仲が良かったのだが、彼女がクリス達と仲良くなってからはネビルがあまり近寄らなくなってしまい、ハーマイオニーも少なからずそれを気にかけていた。

「これから宿題?」
「ううん……もう2時間も前からやってるんだけど、あんまりはかどらなくって……」
「あら、それなら言ってくれればいいのに。――クリス!」
「ひぃっ!?」

 ハーマイオニー1人だと安心していたのか、クリスの存在に気づくと、ネビルは驚いて手にしていた2冊の本を床に落とした。おそらく廊下の曲がり角で突然ゴーストに出くわしたって、こんなには驚かないだろう。クリスはそんなネビルを気遣い、近寄らずにその場で挨拶をした。

「やあ、ネビル」
「こっこここ、こんにちはは……クリス」

 クィレル先生並みのどもりっぷりに、クリスは苦笑いを浮かべる。自業自得とはいえ、ここまで怖がられると流石のクリスでも傷つく。それが気に入った相手ならなおさらだ。
 2人の間に一瞬気まずい空気が流れたが、すぐにハーマイオニーが割って入ってくれた。

「私ネビルの宿題を見てあげようと思うの。悪いんだけど、クリス先に戻っていてくれる?」
「えっ、いっ……いいよハーマイオニー。ぼく1人でやるから」
「遠慮する事なんてないわ。今日の宿題、結構難しいのよ。だからクリス、いいかしら?」
「ああ、構わないよ。それじゃあまた後で」

 もしかしなくても、ハーマイオニーはネビルがクリスを嫌っている事を知っているのだろう。クリスを誘うそぶりすら見せなかった。
 それがありがたくもあり、また少し寂しい気もした。こんな事で疎外感を感じるなんて、やはり気取ってはいても所詮11歳の小娘だ。クリスはいたたまれず、その場から逃げ出すように図書館を後にした。
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