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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第18章 【生徒は見た!】


 しかしそんなクリスでも、やはりスネイプは苦手だ。他の生徒のように嫌味を言われるわけでもないが、とにかくあの目でものを言う雰囲気が好きになれない。
 机の上に広げていた羊皮紙の山をまとめると、クリスは談話室の出口に向かった。

「あれ、どこ行くの?」
「図書館。本でも読んで気分を紛らわす」
「待って、私も行くわ。今日中に返さなきゃいけない本があるの」

 手早く勉強道具を片付けると、ハーマイオニーは分厚い2冊の本を胸に抱える。ロンはこのまま談話室で宿題を続けると言うので、彼に荷物を頼んで2人は図書館への廊下を進んだ。 その途中で、クリスの渋い顔を覗いながら、ハーマイオニーが気遣わしげに話しかけてきた。

「ねぇ……嫌なら断ったら?元々貴女は何の関係もないじゃない」
「面倒だとは思うけど、そんなに嫌じゃない。ただ……緊張する」

 初めての授業で感じた緊張は、未だにクリスの心の奥底に染み付いていた。ハリー達と一緒ならその度合いも大分軽減されるのだが、1対1で会うとなると、思わずため息をつくほど気が滅入ってくる。

「それは普通でしょ、私だってスネイプ先生相手は緊張するわ。それに授業だって、魔法薬学の授業が1番気が張り詰めるもの」
「そういう意味じゃないんだけどな……」

 緊張は緊張でも、ハーマイオニーの言う教師と生徒の間にある緊張感とは違うものをクリスは感じていた。少なくとも、マクゴナガル先生に対する緊張とスネイプ先生に感じる緊張は似ているようで別物だ。
 そう伝えようとしたが、生憎図書館に着いてしまったので話はここで一旦きり止めとなった。どうにも1度ここでハーマイオニーと言い争いをした所為か、司書のマダム・ピンズから要注意コンビとしてマークされているらしく、2人で図書館を訪れるたび神経質な視線で睨まれてしまう。

 ハーマイオニーが本を返している間、クリスは適当に本棚を調べては“勉強の役に立たなさそう”な本を探した。すると丁度“パーフェクト・盗っ人ガイド”という本を見つけ、ついそれに手を伸ばす。
 どうしてこんな素晴らしく役に立たなさそう本がホグワーツにあるのかはさて置き、早速その場でページをめくる。もしスネイプからブレスレッドを返してもらえなかったら、部屋に侵入して盗って来るという手もありかもしれない。
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