第18章 【生徒は見た!】
クリスは自分のノートを鞄から取り出すと、ぱらぱらとページをめくった。しかし魔法史はビンズ先生の催眠授業により、いつも睡魔と格闘しながらなのでうっかり聞き逃している可能性もある。
必死に自分のノートを目で追っていると、談話室の扉が開いてラベンダーとパーバティが入ってきた。普段なら気に止める必要もないのだが、この時はどうしたのか、微かに目を赤くしたラベンダーがパーバティに慰められながら姿を現したではないか。
「どうしたんだ、ラベンダー?」
「そっ…それが……スネイプ先生に着けていたブレスレッドを没収されちゃったの。謝って、“もう着けません”って言ったのに、返してくれなくて――」
「それって自業自得じゃないの?」
隣で聞いていたロンがうっかり余計な一言を漏らしたおかげで、ラベンダーはハンカチに顔を埋めてわっと泣き出し、ロンは女3人から鋭い眼光をお見舞いされる羽目になった。
もちろん学生である以上、校内での華美な装飾が許されているわけではないが、着けていても目立たない程度のアクセサリーなら煩く言われる事はない。クリスもスリザリンの生徒がネックレスやピアスを着けている姿を見たことがあるし、もちろんラベンダーだってそんな大層なブレスレットはつけていなかったはずだ。これは明らかに、グリフィンドール生に対するスネイプの嫌がらせである。
「ねぇ、クリス。どうにかしてスネイプ先生からブレスレッドを取り戻してくれないかしら?」
「えっ……私が!?」
パーバティの突然の頼みに、クリスは思わず大声を出した。クリスだってラベンダーは可哀想だとは思うが、それとこれとは話しが違う。しかし泣きじゃくるラベンダーの肩を優しく撫でながら、パーバティはなおも食い下がった。
「だってグリフィンドール生でスネイプ先生から目をつけられていないのって、あなたくらいじゃない。それにスリザリンのマルフォイは許婚同士なんでしょ?何だったら彼に頼んでみてよ」
「冗談じゃないぞっ!! だからって何であいつに頼らなくちゃいけないんだ、そんな事をするくらいなら私1人で取に行って――」
「――本当!? ありがとうクリス!」