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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第17章 【祭りの後で】


「あれはもう解決したんだ、今は特に悩みなんてないな」
「嘘よ、相手が私だから言いたくないんでしょう」
「だから勝手な憶測で決め付けるな、私が嘘を言っているってどうして分かる?」
「だって、だって悩みの無い人なんて……いるはずないもの……」
「それは、自分の事を言っているのか?」

 グレンジャーは否定しようとせず黙ったままだったので、クリスはそれを肯定ととった。

「話してみろ、聞いてやるから」
「……怒らない?」
「内容によるな、とにかく聞いてみないことには何とも」
「……私、その……小さい頃から勉強が出来て、それがとても自慢だったの。マグルの学校にいたときもずっと成績は1番で、正直ほかの子を馬鹿にしていたところがあったわ。勉強している自分は偉いんだって、遊んでばかりの子よりも自分は大人だって思っていたの。それは……ホグワーツに来てからも変わらなかったわ。授業だって思ったより簡単だし、私以上に勉強する子もいない、ここでも私は1番だってそう思っていたの。特に貴女は顔と口だけでろくに勉強もしないって完全に見下していたわ。でも、やっと気づいたの、本当に馬鹿だったのは自分の方だって」
「……………」
「貴方の言うとおり、私の生き甲斐は成績と先生の評価だけ。それどころか、周りの子を馬鹿にすることでしか自分を保てない最低な奴よ。それなのに貴女には勉強よりも必死になれるものがあって、私みたいにいじましく他人の評価も気にしない。それに……こんな私のために命がけでトロールから守ってくれた――器が違いすぎるわ。それなのに私は……」
「――っ……く……」
「クリス?」

 突然苦しそうに息を詰まらせるクリスに、グレンジャーは驚いて名を呼びかけた。相手はつい先ほど身を呈してトロールから庇ってくれたのだ、ひょっとしたらどこか怪我をしているんじゃないかと胸騒ぎを覚えた。しかしグレンジャーがクリスの安否を確かめる前に、堪えきれずクリスが盛大に噴き出した。
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