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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第17章 【祭りの後で】


 思い切ってクリスが真実を話そうと口を開いたが、グレンジャーがそれを許さなかった。彼女はどうあっても、責任を全て1人で背負いこもうとしているらしい。ますます信じられない展開に、クリス達は目を回した。
 マクゴナガル先生は4人の生徒の顔をそれぞれ見つめ、瓦礫や木片の散乱するトイレをぐるりと見渡すと、最後に深いため息をついた。

「……貴女には失望しました、ミス・グレンジャー。グリフィンドールから5点減点、これだけで済んだのは幸いです。分かったら寮に戻りなさい、生徒がパーティーの続きをしていますよ」

 分かっていた事とはいえ、これは応えたろう。グレンジャーは暗い表情で下を向き、小さな背中を丸めてとぼとぼと部屋から出て行った。次にマクゴナガル先生はキュッと唇と結ぶと、厳格な顔つきでクリス達に向き直った。さて、今度はどんな処罰が下る事だろうか。クリスは生唾を飲み込んだ。
 
「勘違いしないように、彼方達は運が良かっただけですよ。しかし、野生のトロールと渡り合える1年生はそういません。1人5点ずつ差し上げましょう」

 クリスは耳を疑った。減点はされても、まさか加点されるなんて誰か予想しただろう。対抗するスリザリンの寮監であるスネイプ先生はその処遇に苦虫を噛み潰したような表情を見せたので、ぐだぐだと理由をつけて減点される前にクリス達も寮に戻ることにした。

「では、失礼しまっ――」

 ――刹那、まるでクリスの体を嘗め回す蛇のように、恐怖という感情が体中を駆け抜けた。
 それは腰を抜かすクィレル先生のわきを通り過ぎたほんの一瞬、今しがた襲われたトロールなんて目じゃない本物の恐怖が這い上がり、クリスは一気に頭のてっぺんからつま先まで総毛立った。
 勢い良くクィレル先生を振り返ったが、先生は変わらず腰を抜かした体勢でゼイゼイと息を切らし、むしろクリスよりも気分が悪そうだった。歯を食いしばり、時折荒い息とともにブツブツとなにかを呟いている。

「どうしたの?クリス、どこか怪我でもした?」
「いや……なんでもない。多分、私の勘違いだ」

 足を止めたクリスに、ハリーが振り返った。2ヶ月前の新入生歓迎会では、彼もクリスと同じときに謎の痛みに襲われたが、今回は何も感じていないらしい。
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