第17章 【祭りの後で】
【第17話】
駆け込んできたのは寮監のマクゴナガル先生を筆頭に、先ほど廊下ですれちがったスネイプ先生と、トロールの事を知らせに来たクィレル先生の3人だった。
マクゴナガル先生は目を大きく見開きながらも、必死に冷静さを取り繕うと努力しているようだったが、体全体からすでに怒りのオーラがにじみ出ていた。スネイプ先生はこの状況をどう受け入れていいか判断しかねているようで、怪訝に眉をひそめている。気の弱いクィレル先生は気絶したトロールとトイレの惨状を見て、可哀想なほど怯えて腰を抜かしていた。
「さあ、お答えなさい」
「えー、あーその……つまり……」
「先生!私が、私が悪いんです。全て私の責任です!」
適当に理由をでっちあげようとしたクリスを、思いがけずグレンジャーが遮った。しかも“自分の責任だ”と言っている。これにはクリスもハリーもロンも驚いてとっさに顔を見合わせた。
「どういう事ですか、ミス・グレンジャー。貴女の責任と言うのは……」
「だから、その――私、本で読んだんです……トロールの事を。それでやっつけてやろうと……1人でもどうにかなると思っていたんです」
「なんと、まあっ! ミス・グレンジャー、なんて愚かしい。1年生がトロールに立ち向かおうとするなんて。下手したら死んでいたかもしれないのですよ」
優等生でお気に入りのグレンジャーがこんな事をしでかすとは夢にも思わなかっただろう、マクゴナガル先生は大きなショックを受けていた。だがグレンジャーの科白には、クリス達のほうが衝撃は大きかった。それは『もしかしたらトロールに襲われた恐怖で、頭のネジが吹っ飛んでしまったのかもしれない』と本気で思ったほどだった。
誰もがグレンジャーの言動に驚いている中で、一人スネイプ先生は気絶したトロールを覗き込み、疑わしげにハリー達を睨みつけた。確固たる証拠はないが、見透かされるような執念深い眼で真相を暴こうとじっとりと目を凝らしている。
「いえ、マクゴナガル先生違うんです。本当は――」
「彼女達が来てくれなかったら、私、本当に死んでしまうところでした。私がいけなかったんです、思い上がってトロールを倒そう何てするから」