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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第16章 【ウィンガーディアム・レヴィオーサ】


「皆、静粛に。監督生はすぐさま自分の寮の生徒を引き連れ、寮監から連絡があるまで寮で待機をしておるのじゃ。連絡があるまで誰一人、寮から出てはいかん」

 グリフィンドールのテーブルでは、真っ先にロンの兄弟のパーシーが立ち上がった。胸を反り返らせ監督生バッジを光らせるときびきびと生徒を並ばせ、クリス達1年生はパーシーに引率されて大広間を出た。
 廊下は一斉に寮に戻る生徒で団子状態となっていて、人の波を進むのは一苦労だった。やっとハッフルパフの1団を抜けきったそのとき、急にハリーがロンとクリスを引き止めた。

「どうしたんだ、ハリー」
「……ハーマイオニーだ…」
「はあ?」
「ハーマイオニーだよ、ハーマイオニーはトロールのことを知らない!」

 クリスとロンは顔を見合わせた。グレンジャーがこの場にいないのは、他の誰でもない自分達の所為だとしっかり自覚している。ロンはグッと下唇をかんだ。

「オーケー、分かった。それじゃあパーシーに見つからないよう……こっそり抜け出そう」

 混乱に乗じてこっそり列の後ろに回りこむと、3人は静かに寮とは別の廊下へと疾走した。しかし曲がり角を越したとたん、後ろから早足で追いかけてくる足音が聞こえて、3人は慌てて近くの石像の陰に飛び込んだ。
息を殺して密かに様子を覗うと、ちょうどスネイプが石像の前を通過し、そのままクリス達に気づかず4階へ続く階段を上っていった。

「何してるんだろう……トロールは地下室に現れたんだよね?」
「知るもんか、早く行こう」

 ロンの言うとおり、こんな所で躊躇している暇は無い。スネイプの足音がだんだん小さくなっていくのを確認しながら、3人は極力足音を立てないよう注意して廊下を渡った。
そして運良く先生にもフィルチにも見つからずに女子トイレのすぐ側まで来られたが、奇妙な音と鼻を突き刺すような強烈な悪臭に思わず3人は足を止めた。見ると廊下の向こう側から大きなトロールが、これまた巨大なこん棒を引きずってゆっくり歩いてくる。

「きっとあれだね、クィレル先生の言ってたトロールって」
「シッ、静かにハリー。見つかるとまずい」

 トロールは馬鹿で動きは鈍いが、力が強力なので決して関わり合いたい相手ではない。気が付かれない様クリス達はドブ川のような臭いに耐えながら、黙ってトロールの動きを窺った。
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