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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第16章 【ウィンガーディアム・レヴィオーサ】


「ウィンガーディアムレヴィオーサッ!!」

 力を込めて杖を振り下ろした直後にカッと瞼を開いてみると、なんと羽根が3cmほど宙に浮かびゆらゆらと落下していくところだった。クリスは思わずその場でガッツポーズをキメた。

「やった!!今の見たかロン、ちょっとだけだけど浮いたぞ!」
「残念だけど、今のは多分杖を振り下ろした風圧で浮いただけだよ」

 飛行訓練の時のようにロンが笑わなかったのはありがたかったが、派手に喜んでしまっただけに恥ずかしさもひとしおだった。しかもよりによってグレンジャーの見ている前でこんな失態を犯してしまったのだ、本気で顔から火が出るんじゃないかと心配するほど顔が真っ赤に火照ってきた。
 クリスが杖を構えなおさないでいると、今度はグレンジャーが杖を取り出した。

「あなた達、発音と杖の振り方がバラバラよ。それじゃあ成功するはずが無いわ」
「そんなに言うなら、君がやってみせろよ」
「いいわ、よく見てなさい。――ウィンガーディアム・レヴィオーサ…ウィンガーディアム・レヴィオーサ……」

 グレンジャーがまるでゆったりとした音楽を奏でる指揮者のような手つきで杖を振ると、その軌道に従って羽根がふわり、ふわりと舞い上がり、机から1、2メートル上昇したところでグレンジャーが杖の動きを止めても落ちることなくその場に漂い続けた。

「おおー素晴らしい、皆さん見てください、ミス・グレンジャーが成功させましたよ。このクラスでは1番ですね、他の皆さんも引き続き頑張ってください」

 1度で呪文を成功させ、フリットウィック先生に褒められたグレンジャーが嬉しそうにはにかんだのか、それとも当然といった風に鼻を高くしたのかは分からなかった。羞恥心と屈辱が入り混じりはらわたが煮えくり返ったクリスは、まともにグレンジャーの顔を見ることが出来ず、それから授業が終わるまでの間ずっと机の上に乗ったまま動かない羽根を見つめていた。


「だからあいつと組むのは嫌だったんだ、本当に悪夢みたいな奴だよ!」

 授業が終わると、ロンは早速ハリーに不満をぶちまけた。今やロンの顔は髪の毛と同じくらい真っ赤に染まり、カンカンに怒っている。クリスもクリスでこれでもかと言わんばかりに眉間にシワを寄せ、口をへの字に曲げていた。
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