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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第14章 【波乱の幕開け】


「わかった……じゃあお互い、これまでの事は水に流そう」
「まぁ、それでいいだろう」

 ドラコはクリスの手を放すと中庭のベンチに腰掛け、隣にクリスも座らせた。

「正直、僕だってこの話を聞いた時は驚いたよ。それに君が初めから素直に聞き入れるはずが無いっていうのも分かっていた」
「そうだろう!じゃあ2人で反対しよう、そうすれば父様達も分かってくれるよ」

 予想外のドラコの言葉にクリスは目を輝かせた。これで破談への道が開けたと思うと心が羽根のように軽くなったが、やはり次の言葉でドラコは見事その期待を裏切ってくれた。

「だけど反対はしていない、なぜならこれは両家にとって悪い話じゃないからな。それなのにクリスはどうしてそう頑なに拒むんだ?」

 ああやっぱり、ドラコはドラコだ。二言目には必ず出てくる「家」という言葉に、クリスはうんざりしてきた。

「どうしても何も、家の都合で勝手に将来の相手を決められるなんて私はご免だ。もしこの先私に好きな人が出来ても、その人とは結婚できないなんてあんまりじゃないか」
「まさかクリス!他に好きな人がいるからこの婚約に反対してるのか!?」
「私は“もしも”の事をしてるんだ。勝手に話しを飛躍させるな」
「じゃあどうしてなんだ、僕がそんなに嫌いか?それとも僕の両親が嫌なのか?」

 痛いところを付かれて、クリスは息を詰まらせた。実はクリスがあともう1歩強気に出られない理由が、そこにあるのだ。
 仕事で家を空けがちな父に代わり、なにかと面倒を見てくれたルシウスやその妻のナルシッサは、クリスにとって第2の家族のようなものだ。その2人を嫌っているわけが無いし、ドラコの事も嫌いではない。だが――それを素直に言ったところで分かってもらえるとは思えない。

「違うよ、ただ家に人生を左右されるのが嫌なんだ。私は自分の事は自分で決めたいだけだ」
「それじゃあ、クリスは自分の家を捨てるって言うのかい?自分のわがままを通すために」
「そうじゃない……そうじゃなくて私は……」
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