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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第14章 【波乱の幕開け】


 例え誰もが夢中になる箒が目の前にあっても、本の方が気になると言うクリスにもう2人は何も突っ込まなかった。おそらくクリスが箒に興味を示さないのは予想済みだったのだろう。
 興奮を抑えきれず半ば駆け足で大広間を出ようとするハリーとロンの前に、待っていましたといわんばかりにグラップとゴイルを従えたドラコが立ちはだかった。

「この1週間、よくホグワーツを追い出されずに済んだのには驚いたけど――」

 ドラコは素早くハリーの包みに手を伸ばすと、感覚だけでその中身を見極めた。

「やっぱり思った通り、箒だ!これで終わりだなポッター、1年生は箒を持っちゃいけない規則なんだぞ!」

 鬼の首を取ったかのように喜ぶドラコだったが、ハリーとロンは焦るどころかドラコを前に自慢げに微笑んでみせた。

「ああ、その通り。この中身は箒だけど、ただの箒じゃない、ニンバス2000さ!」
「何だって?……もしかして、クリス!!」

 なぜかドラコはハリー達ではなく、その後ろにいクリスたを睨みつけた。ここ最近のドラコはやけに機嫌が悪そうだったが、まさかこんな不条理に怒られるとは思っても見なかった。
突然の事で何も言い返せぬまま目をパチクリさせていると、ゴイルの脇からフリットウィック先生が姿を現し、ハリー達の間に割って入った。

「何してるんだね君たち、まさか喧嘩じゃないだろうね?」
「先生、ポッターが箒を持っています。規則違反で――」
「――いやいや、マクゴナガル先生が特別に措置を取られたんだよ。なんでも100年ぶりに1年生からクィディッチ選手として選ばれたらしくてね。ところで、箒の種類はなんだね?」
「ニンバス2000です」
 そこで止めておけば良いものを、ハリーは横目でドラコを見てさらに鼻で笑ってやると、とどめの一発をお見舞いした。

「それもこれも全部、ここにいるマルフォイ君のおかげでなんです」

 その一言が決定打となり、ドラコのこめかみに青筋が浮かび上がり拳は怒りに震えていた。喧嘩ではない事が分かりフリットウィック先生がその場からいなくなると、ドラコはハリーに殴りかかろうと腕を振り上げた。ハリーも逃げようとしないところを見るとここで決闘の夜の借りを返そうと思ったのだろう。しかし振り上げられたドラコ腕は、なぜかハリーではなくクリスの肩に伸びてきた。
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