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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第14章 【波乱の幕開け】


「杖が光ったって、その宝石の部分が?……それ本当?」
「いや、それがあまり自信がないんだ。あんな状況だったし、今のところ杖にも私の体にも変わった様子もないし。……やっぱり見間違いだったみたいだ」

 実際に言葉に出すと、気分が一気に落ち込んできた。たった1人で背負う『最後の召喚師』という肩書きの重さは、決して楽なものではない。こんなとき頼りになる相談相手がいればいいのだが、あいにく先代の召喚師である母・レイチェルは11年前にクリスの命と引き換えに逝ってしまっている。
 だがその代わり、クリスには一緒に考えてくれる友がいた。

「ねえ、クリス。その召喚の杖って、やっぱり僕らの持ってる魔法の杖みたいに、何か魔力がこもったもので作られているの?」
「千年以上昔に作られた物だから詳しい事は知らないけど、まあそう考えて間違いないだろうな」
「やっぱり……もしかしたら、杖が光ったっていうのは見間違いじゃないかもしれない」
「どういうことだ?」

 ハリーはまだ腕組みをして考え込んだ様子のまま、自分の中でも正しく順序立てていくように1つ1つ丁寧に説明した。

「2人ともグリンゴッツが侵入されたことは知ってるよね?その記事の切抜きをハグリッドの家で見つけたことも、僕らがその日グリンゴッツにいたって言った事も覚えてる?」
「もちろん、覚えているよ」

 ハグリッドの家に遊びに行ったとき、見かけによらず温厚なハグリッドが、ハリーがその記事を見つけると急に態度が怪しくなり、クリス達を半ば追い出すように城へ返したことは記憶に新しい。
 それがよっぽどの事なのか、ハリーは椅子ごとクリスに身を寄せると声を小さくして囁いた。それを聞き逃さないようにロンも近寄り、3人はお互いの額がくっつくほど接近してハリーの話に耳を傾けた。

「実はその日、僕のお金をおろすついでにハグリッドもとある金庫から荷物を持ち出したんだ。荷物って言っても5センチくらいの小さな包みで、ハグリッドは“ホグワーツの仕事だから”って直ぐにポケットにつっこんで僕に中身を教えてくれなかった」
「それが杖とどう関係あるんだ?」

 ハリーはまだ腕組みをして考え込んだ様子のまま、自分の中でも正しく順序立てていくように1つ1つ丁寧に説明した。
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