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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第13章 【真夜中の冒険】


 扉の外でフィルチが渋ったようにうなり声を上げた。こんなポルターガイスト相手に“お願いします”なんて言うのはプライドが許さないのだろう。しかしこうしている間にも生徒達が逃げ出しているかと思うと、迷っている時間は無い。ついにフィルチは観念してピーブスに頭を下げた。

「しかたがない――“お願いします”教えてください」
「じゃあ言ってやるよ。“なーんにも!”あははは、言ったよな?“お願いします”って言わないんなら、“なーんにも”言ってやらないって!あはははははは!」
「……こ、このクソポルターガイストがぁ~~~」

 ピーブスが最後にべ~っと舌を出しておちょくると、甲高い笛のような音を出して暗闇の中に消えてしまった。

「おおかた廊下の甲冑をなぎ倒したのも貴様の仕業だったんだろう!いつもそうだ、余計な仕事を増やすばかりか、人をコケにしやがって!畜生ッ!ぶっ殺してやる!!」

 扉の外でフィルチは散々汚い言葉でピーブスを罵ると、やがて廊下を引き返して帰って行った。フィルチの足音が完全に聞こえなくなったのを確認すると、クリス達は気が抜けてその場に座り込んでしまった。こんなに必死になったのは生まれて初めてで、全員いったん抜けてしまった気力が回復するまで少々時間がかかりそうだ。

「疲れた……ああもうっ!ドラコのやつ、覚えてろよ。この借りは必ず返してやる」
「フィルチに告げ口したのも多分マルフォイね。じゃなかったらあんなにタイミング良くフィルチが現われるはずないもの」
「クソッ!マルフォイめ、どこまでも憎たらしい奴だ!」
「……っ、………ぁ…」
「ん?どうしたのネビル?]

 みんな鬱憤を晴らすかのようにドラコに悪態をつく中、ネビルだけがアホみたいに口と目を開けて暗い部屋の奥を見つめていた。何かいるのかと杖明かりを点けてみたが、依然真っ暗で部屋の奥が見えない。もう少し先に進んでみようと2・3歩足を踏み出した瞬間、クリスは全身が凍りついた。
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