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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第13章 【真夜中の冒険】


「ふざけるな、ついて来るなよ」
「嫌よ、あんなところに立って大人しくフィルチに捕まれっていうの?もし4人が捕まったら、私本当の事を言うわ。あなた達を止めようとしたって。あなた達は私の証人になるのよ」
「君、相当な神経してるぜ」
「もう放っておけ、ロン。話すだけ無駄だ」

証人も何も、捕まった時点で全員同罪だ。ちゃちな言い訳を聞いてくれるほどフィルチも寮監のマクゴナガル先生も甘くは無い。重要なのは捕まった時の言い訳ではなく、いかに捕まらないようにするかなのだ。
足元さえろくに見えない廊下を歩きながら、クリスは全神経を集中させて慎重に先に進んだ。すると曲がり角の物陰に何かが動く気配を察知し、クリスは慌てて後ろの3人を制止させた。
 目を凝らして注目すると、そいつはその場を行ったり来たりうろうろとしていて、どうも巡回中の先生やフィルチとは思えない。かといってゴーストでもなさそうだ。身長も小さめで、おそらくクリス達と同い年くらいだろう。何かに怯えるように息を潜め、周りをきょろきょろと見回している。その仕草にピンと来たクリスは曲がり角ギリギリまでそいつに近づくと、隙をついて後ろから引っ張りこみ、壁に押さえつけた。

「んっんんー!むうむんんーー!!」
「しっ、静かにネビル。フィルチに見つかる」

 下手にいきなり声をかけてゴーストと勘違いされても困るので、力ずくの手段に出たのだがこれも失敗だった。パニクったネビルはクリスから逃れようと無茶苦茶にもがき、あと一歩で大声を出されるというところで、ハリーとロンが必死になだめてやっと大人しくなってくれた。

「良かったぁ!ハリーたちがいてくれて。ずっとここで誰かが通りかかるのを待ってたんだよ。実は僕、合言葉を忘れちゃって寮に入れなくて困ってたんだ」
「シーッ!静かにしろよ。今は真夜中なんだぞ、見つかったらどうする。――それに合言葉を知っていても寮には入れないぞ、太った婦人は外出中だ」
「えぇーっ!――んぐっ………」

 ネビルの悲嘆の声が廊下中に響き、クリス、ハリー、ロンの3人でとっさにネビルの口を封じ、耳を凝らした。フィルチの足音もミセス・ノリスの鈴の音も聞こえない事を確認すると、3人はゆっくりとネビルの口から手を離した。今夜は運が良いんだか悪いんだかさっぱりだ。
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