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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第12章 【ライバル】


 呆れたように笑うハリーに、ロンがムキになってつっかかると、ハリーはますます声を上げて笑った。が、その屈託の無い笑顔が何の前触れもなしに、見る見るうちに嫌悪の表情へと変わっていき、ロンも険しい目つきでクリスの真後ろを睨みつけた。

「やあポッター。こんなところで楽しげに食事してる暇があるってことは、もう荷造りはやり終えたのか?」

 いつの間に近づいてきたのか、気が付いたらクリスの真後ろにグラップとゴイルを従えたドラコが立っていた。でかい拳をバキバキと鳴らして脅しをかけるグラップとゴイルに怯むことなく、ハリーとロンは真っ向から立ち向かった。

「地に足が着いてると随分と元気なんだね、ここならお友達もいるからかな?」

 ハリーの挑発にドラコは眉を吊り上げた。しかし吐き捨てるように鼻で笑うと、気を取り直し、あごを少し上げて小ばかにした目つきでハリーをにらみ返した。

「仲間がいて安心しているのはお前の方だろ、ポッター。わざわざクリスにネサラまで連れて来させて……女に守ってもらうなんて恥ずかしくないのか?」
「ネサラを連れて来たのは私の勝手だ、ハリーは関係ない!」
「悪いが少し黙っててくれないか、クリス。今はポッターと話をしてるんだ。そうだろうポッター?それとも、クリスがいなきゃ本当に何も出来ないのか?」

 今度はドラコの挑発にハリーが顔をしかめた。教職員テーブルでは校長をはじめとした多くの教師の目があるので無茶はできない。ハリーは拳を握り締めたまま殴りかかりたいのを必死に押え、ドラコを睨みつけたまま、押し殺した声で囁いた。

「僕が、クリスがいなきゃ何も出来ないだって?お前と一緒にするな」
「へぇ?そこまで言うんなら証明してもらおうか」
「証……明?」
「魔法使い同士の正式な決闘だ、それで決着をつけよう。それとも、怖くて出来ないというなら止めてやっても良い。どうする?」

 魔法使い同士の決闘という聞きなれない言葉に、ハリーの顔が一瞬曇ったのをドラコが見逃すはずが無かった。ハリーが魔法使いの決闘がどんなものか知らないのを承知で言い出したのは明白だ。
言いたい放題のドラコにいい加減頭にきたクリスは、一発ネサラでもお見舞いしてやろうと構えた瞬間、それを見抜いたロンが素早く名乗り出た。
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