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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第12章 【ライバル】


「あ、やっぱり……クリスには良いニュースじゃなかった?」
「クリス、君が大のクィディッチ嫌いだってことは分かってるけど、ここで『クィディッチは究極につまらないスポーツだ』なんて言って水を差さないでくれよ」
「そんな野暮なマネするか。私にだって分別ぐらいある」

 クリスが余計な事を言う前に、ロンが先手を打った。確かに1時間前に見たハリーの飛行術は素晴らしいものだったが、あの忌々しいスポーツの、それも特例の代表選手として選ばれた事を手放しで喜ぶ事はできない。しかし、嬉しそうに顔をほころばせるハリーに面と向かってクィディッチを罵倒する事も出来ない。そのジレンマがクリスの眉間にシワを寄せさせた。これならまだ本当にドラコが退学になったほうが、3人で喜びを共有できたかもしれない。

 仕方なく少年2人がクィディッチの話に夢中になっている間、クリスはネサラに肉を取り分けてやっていた。周りの生徒は堂々とカラスに餌付けしている光景に少々戸惑っていたが、クリスは全く気にしなかった。むしろ、流れで連れて来てしまったネサラだが、おかげで退屈な食事にならずに済んだので大助かりだった。

 大昔は一般的に使い魔として飼われていたカラスも、そのイメージや時代の流れに影響されて廃れていってしまい、今ではカラスを使っている魔法使いなどほとんどいない。だがネサラが他のペットなんかよりも優れている事は、クリスが一番よく知っていた。頭がよく意思の疎通ができ、どんな命令にも従う。まさに非の打ち所の無い優秀な相棒だ。

「ところでさ、クリス。なんで今日はネサラを連れてるの?」

 一通りロンとクィディッチについて語り合った後、ハリーがそう尋ねると隣のロンがぎくりと肩をすくませた。用が無い時は森に放しているのを知っているので、こんなところでネサラがステーキを突いているのが不思議と思ったのだろう。ロンが必死に話しをクィディッチに戻そうとしていたが、クリスはそれを遮って事の一部始終をハリーに聞かせてやった。

「――なるほど、それじゃあロンはまたクリスに騙されたんだ。それも今度は3兄弟揃って」
「言っとくけど、君だってあの場にいたら絶対に騙されてたと思うぜ」
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