第11章 【刺激的な授業】
「なんなの、クリス?もしかして貴女まであのチビでデブな泣き虫に気があるって言うの?ひょっとして今グリフィンドールじゃあ情けないブサイクが流行ってるのかしら?」
「人の悪口を言う時は、自分も言い返されるという事を覚悟しているんだろうな?ええ?ブスでデブな根性悪女のパンジー・パーキンソン」
「ぬぁ、なあんですって!!?」
例のニヤリ笑いをしたクリスとは対照的に、パンジーの顔はトマトのように真っ赤にむくれていた。実はこの2人、5歳の時に初めてマルフォイ邸で会った時から犬猿の仲なのである。
ドラコを仲介に初対面した時、パンジーは開口一番にこう言った。
「ねぇドラコ、どうして男の子がスカートをはいているの?」と。
それに対しクリスはこう返した。
「ねぇドラコ、どうしてサルが洋服を着ているの?」と。
パンジーの場合は子供故の失言だったが、クリスは故意による発言だった。それ以来2人の仲が良くなる事はなく、6年たった今でもクリスはパンジーが大嫌いだし、パンジーもクリスが大嫌いなのだ。
「聞こえなかったのか?ブスでデブな根性悪女って言ったんだ。悪いのは耳か……それとも頭か?」
「2度も、2度も人の事を侮辱してくれたわね!ちょっと自分の顔が良いからって図に乗るのもいい加減にしなさいよ!」
「残念ながら、『ちょっと』じゃなくて『凄く』だ。自慢じゃないが私はお前のように『ブス』だなんて、生まれてこの方言われた事がない」
「私だって貴女以外に言われた事はないわよ!」
もはや女の醜い争い――もとい、ガキの下らない口喧嘩は事の発端であるネビルをほったらかし、お互いを罵り合う事に変わっていた。2人ともあまりに白熱し、頭に血が昇りすぎているため、頭上で箒に乗ったハリーとドラコが対決をしているのに全く気づいていない。
この4人以外の生徒はいったいどっちの対決から先に止めれば良いのかさっぱり分からず、空と地上の争いを交互に見やった。