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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第11章 【刺激的な授業】


「ほらね、コツさえ分かれば簡単だよ」

 たった一度の助言で成功させると、ハリーはまるで自分の事の様に笑った。正直いうと全然簡単ではないが、嬉しそうにニッコリと笑うハリーにつられてクリスも微笑を浮かべた。
 何はともあれ、初めて箒を動かせる事に成功したのだ。隣のロンに自慢すると、「ハリーのおかげだろ?」とにべもなく言われてしまったが、周りを見渡すとまだ何人か手間取っていて、しかもその中にグレンジャーもいたので、クリスは嬉しくなった。

 スリザリン列を見ると、やはり数人はまだ箒を掴むのに成功していなかったが、もうほとんどの生徒が右手に箒を握っていた。勿論ドラコも楽々と箒を手にしているだろうと、ふとドラコの方を見ると、やはり既に箒を握っている。
「せっかく自慢しようと思ったのに」と内心悔しがっていると、ドラコがクリスの視線に気づいた。しかしその瞬間、まるで親の仇を見るような眼で睨まれたので、クリスは驚いて思わず目線をそらしてしまった。

 ドラコもクリスもお世辞にも気が長いとは言えず、お互いしょっちゅう怒ったり喧嘩ばかりだったが、あんな風に睨まれたのは記憶に少ない。今までさんざん邪険に扱ってきて等々堪忍袋の緒が切れたのかと思ったが、少なくとも今朝まではいつも通り自慢話をして機嫌が良さそうだった。

「私が3秒数えて笛を吹いたら、地面を強く蹴りなさい。そして2・3メートル上昇したら、すぐに降りてくる。分かりましたか?」

 クリスは言われた通り箒にまたがり飛ぶ姿勢をとったが、頭の中は授業そっちのけで、睨まれた原因を必死に記憶の中から探し出そうとしていた。一応、ハリーやロンのように理由もなしに睨まれる間柄ではないはずなのだが――

「では……1、2、さ――」
「うわっ、うわわわああぁぁ~~~~~~!!」

 クリスの思考を遮ったのは、マダム・フーチの笛の音ではなく、誰かの叫び声だった。とっさに声のした方に目を向けると、ネビルの箒がどんどん上昇し、みるみるうちに空に吸込まれていく。グリフィンドール生もスリザリン生も突然の出来事を目の当たりにし呆気に取られ、その光景をポカンと口を開けたまま眺めていた。

「こらっ、ロングボトム!どこに行くんですか、降りてきなさい!!」
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